片折

かたおり

HOKURIKU TOP100 RESTAURANTS
究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)

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2018年5月16日に暖簾をあげた日本料理店。開業1年経たない間に噂になり全国・世界の食通の間で注目を集め、今では予約が極めて困難な一店に。
・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)

店主の片折卓矢さんは日々実直に料理に向き合い、食材への探求心と熱量は増す一方で目が離せません。
場所は、金沢では通称“女川”と呼ばれる浅野川沿いの、卯辰山に続く天神橋のたもと。雑踏のない静かな雰囲気が漂います。店主の片折卓矢さんと女将の裕美さんは、お二人とも「懐石つる幸」さんのご出身。女将さんもつる幸時代は調理場にいらっしゃいました。おもてなし、気配りの細やかさも超一流。つる幸の後は、「玉泉邸」さんのオープン(2014年4月1日)から3年半強、料理長と女将を務められました。昼夜営業で、かつ結構なキャパシティの日本料理店ですから、かなりお忙しい日々をお過ごしだったのではないでしょうか。お二人のご努力あって玉泉邸さんは大変な人気店になり、ミシュランガイドでは1ツ星も獲得されました。そこから独立出店されたのがこのお店です。玉泉邸時代は後半くらいからどんどん研ぎ澄まされて進化されていましたから、これからどのような風に突き進まれるのか楽しみでした。
現在は食べログ石川では堂々の1位。メディアにはあまり出演されませんが、2019年6月放送の「人生最高のレストラン」では、ミシュラン3つ星13年連続獲得の「カンテサンス」岸田周三シェフ(木村拓哉さん主演のドラマ「グランメゾン東京」の料理監修も)が選ぶお店のひとつとして紹介されました。さらに、グルメサイト「TERIYAKI(テリヤキ)」“ベストレストラン2020”のGOLDに選ばれました。(GOLDはその年最も素晴らしかったレストラン1店舗に贈られる賞で、全国を食べ歩くテリヤキストの投票によって決定します。)

ちなみに店名はつる幸先代の河田三朗さんが書かれました。

さて同店片折ですが、修行先のつる幸さんとは真逆な感じのお料理ですし、玉泉邸の頃ともまた違うので、片折さんの事を元々ご存知の方のほうが今のスタイルに戸惑われるかもしれません。“日本の美”“日本料理の美”の中でも、食材に関しては季節の“地産地消の究極”、味わいに関しては“引きの美学”で食材を最大限に立ててあります。見た目に派手さは無いけれど、シンプルの奥に宇宙を見せてくれる料理

食材は、店主自ら毎日能登や氷見を回って、魚、野菜、水などの食材を調達しています。片折さんの1日は長い。まだ明るくなる前に金沢を出て、氷見を経由して奥能登珠洲や七尾など回る。片道ですら2時間から3時間強はかかる道のりをよくぞ毎日。店に戻ってからの仕込み、本営業、店仕舞いを考えると、いつお休みになっているのか。簡単には想像できない裏のご努力が毎日あるのだと思います。頭が下がります。そのためお料理は毎回(毎日)変わります。
さらに、信田巻き、ひろず、茶巾稲荷、揚げ豆腐、クラゲの和え物など、古典レシピを見直した料理も泣ける美味しさなのです。派手さはないが和の真髄です。

片折さんの命の出汁

特徴的なのは、お弟子さんが毎回目の前で削ってくれる鰹節で作る“命の出汁”です。この鰹節は鹿児島枕崎のもので、片折さんの特注(なのでここでしか味わえません)。これがとても印象に残ります。まるで天女の羽衣のように薄く透明感のある、たおやかな鰹節。削るごとに香りも立ち、日本人としてのDNAが反応する。一本釣りなためストレスがかからず、酸味が味に出ないのも特徴。能登の“藤の瀬の霊水”で40時間水出しした昆布に合わせて。昆布は利尻まで足を運ばれて一等品を確保されたそうです。

片折さんのご飯

ご飯は氷見のコシヒカリ一等米を使用。こちらも毎回の楽しみです。氷見牛の八幡巻きを添えてくれることが多いです。

おかわりには、鮪などの漬け丼やかほく市西山愛鶏園さんのもみじたまごのせ、塩雲丹、お茶漬けなどを準備してくれています。食べたいものばかりでおかわりが止まらない。

※これまで写真は不可だったのですが、もう解禁とのこと。しかしこの雰囲気を壊したくないので音無しで撮影。