訪問日

2022

10/28

「片折」秋:能登松茸の回(21度目の訪問)

どうしても期待してしまう松茸のシーズン。片折さんの松茸料理は別格と言い切って良いと思ってます。これが食べたくて、みなさん1年も2年も前から予約しているのですが、(当たり前ですが)自然のものなので、当日になってみないと大将も入荷できるかなんて分かりません。本当に1本も出ていない日もあるので。しかしお客さんの期待は膨らみきっているので、かなりのプレッシャーだと思います。
私は無かったら無かったで、珠玉食材が何もない日の片折さんも大将が実力発揮する料理が食べられて大好きです。
がやはり、大将が試行錯誤されて辿り着いた能登松茸の調理法で、年に一度は脳と舌に刻み込んでおきたいと思うのです。
今回はありがたいことに、素晴らしい能登松茸が揃う最良の日でした。神様、ありがとう!
神々しい能登松茸が登場し、最初から興奮が抑えきれなくなってしまいました。
太さ、身の詰まり方、美しさ、能登松茸らしいニッキ様の香り、パーフェクトです。

●能登松茸 刺身
まずはスッと包丁を入れてお刺身で。鮮度が良いので、パキンと口の中で割れる。一気に広がるシナモンのようなウッディーなアロマが、食べ手のスイッチをオンにしてくれる。

●能登松茸お粥
開店初年度から出しているのがこの松茸粥。片折さんの松茸料理を食べたことがある人は「あの松茸粥よかった」と必ず話に出すのがこれ。薄くスライスした能登松茸がたっぷり入っていますが、豪快というよりも品があって、風味と共に食道を落ちてゆき胃袋をぽわっと温めてくれます。

●黄金蟹 お吸い物
オーラさえ感じる神々しいお椀。
真薯というよりも、ギリギリの繋ぎで優しく寄せただけの椀種。とぅるんとぅるんの舌触りの黄金蟹をいただくと、「ああ、片折さんのお椀だ」となります。
昆布を少し強めの比率にしてあり、吸い地を単体でテイスティングしても素晴らしいけど、黄金蟹と合わさった時にその威力を最大限に発揮していてパーフェクトな仕上がりでした。
目を閉じてしばらくその美味しさに浸ります。

●クエ、鯵 氷見
言われなかったら鯵と分からないくらい、高貴な味わいの鯵でした。

●白海老 磯辺揚げ
身剥きした透明感のある美しい白海老を、サクサクとした磯辺揚げに乗せ、白海老に足りない食感を補ってあります。

●ハガツオ
しなやかできめ細かく、絹のような舌触りのハガツオ。絶品。

●能登松茸 焼き
世界一の松茸料理と言いたい。
包丁の先を使って流れるように切れ目を入れて、その切れ目を上にして、下からのみ炭火で火入れ。時にはホイルで熱を閉じ込め、目を見張りながら焼き上げます。

しばらくすると切れ目からほんのり色付くツユが湧き上がってきます。このジュを出させる作業がこの炭火焼き。
清らかで旨味がふくよかな雫が、心の琴線に触れる。
身は焼くと繊維が出てきてシャクシャクとした食感に。

●辛子蓮根
加賀れんこんを美味しく食べさせるために編み出した一品。辛子レンコンを加賀れんこんで再現。
紙を持ってハホハホと口に入れると、れんこんの滋味と、辛味はあるがまろやかで香ばしく新しい美味しさが広がり驚きます。辛子の部分は卵黄も混ぜ込んであるので、シャープな辛さはなく、衣にはきな粉も配合しており、ホコホコと旨味が余韻します。

●テッポウカマス、香茸
テッポウカマスはサイズが大きいカマス。なんと、香茸を炊いたものを添えてありました。

●里芋の田舎煮
片折さんの伝統レシピの中でも大好きな料理の一つです。氷見の原種の里芋を使用した煮物で、煮干しの風味を乗せてほんのりと甘く仕上げているのがポイント。ほっこり、しみじみ心まで入ってくる美味しさ。

●能登松茸 牛巻き

●ひろず 珠洲 干ぜんまい
ふわっと炊き上がったひろずにテクスチャーを合わせるように、珠洲のぜんまいも灰汁をしっかり抜いて柔らかく炊き上げてあります。品の中に懐かしみがある、心に染みる一品。

●お食事
コシヒカリ一等米、香の物
今回おかわりは全種類いただきました。なんだか食欲が加速しちゃいました。
鯵とヒラソウダ鰹漬丼、のど黒丼、牛しぐれ煮丼、卵かけご飯

おこげと梅干しのお茶漬け

●能登松茸と天然茸のそうめん
能登ではコケと総称される天然茸であるシバタケと一本しめじ、さらに能登松茸入りの素麺。これは最後に再び興奮。山の旨味が溶け合うつゆにお素麺が絡みます。

●落花生どうふ
片折さんでお初の落花生どうふ。しっかりと粘度があってもちもちとしており、落花生の凝縮された鮮烈な風味が口の中いっぱいに広がります。最後を締めくくる素晴らしい一品。

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