訪問日

2020

05/26

「片折」春:トリ貝、海素麺、ヨモギ豆富 (11度目の訪問)

●海素麺
細長い海藻の一種“海素麺”。これは能登の名人が採ったものだそうで、今までに食べた海素麺とは別物のうまさ。太もずくのようにやわらかい印象を持っていたが、これはシャキッとしていてコシもあり美味。たぐるとキリリとした清涼感がたまらない。「海素麺ってこんなに美味しいのがあるのか」と開眼。最初からググッと掴まれた一品。

●小鯛お吸い物
命の出汁、吸地をまずは一口頂いて、一旦ふぅと浸るのがお決まり。

●ヨモギ豆腐
摘んできたヨモギの鮮烈な風味がパッと口に響き、一瞬で野に連れて行かれる。一呼吸置いて訪れる苦味にしみじみ。

●氷見のコチ、アカイカ
片折さんが刺身を引くとき客席が自然に静かになるのは毎度お決まり。手元に惹きつけられる。息を飲む音が聞こえそうだ。

●富山 青バイ貝
大きな富山の青バイ貝。金沢のバイ貝は殻が固いので金槌を使ったりして割るのだが、富山のバイ貝は綺麗な水に生息するため身を守る必要がないから殻が薄いとかで、殻が手でクシャッと割れるほど薄い。そして、芯の部分だけを使うのが片折スタイル。シャクシャクとした食感と甘さ、この妙味。

●氷見のどぐろ
ほどける身からとくとくたゆたう脂と香ばしさ。

●胡瓜、クラゲ、椎茸 和え物
古典レシピを改めて見直しているのも片折さんの特徴の一つだ。派手さはないが和の真髄と言える。懐かしみすら味付けにし、咀嚼するたび故郷の光景が浮かぶようだ。

●宇出津の鮑
シンプルに酒蒸しで。絹織物のようにしなやかに折りたたむことができる薄さに削ぐ。口に運んだ瞬間、能登の潮騒を思い起こす味わい。

●七尾のトリ貝
この時期は七尾のトリ貝のシーズン。今年は漁に出ている漁師さんが限られるそうで、他でもなかなか食べられずにいましたので、食べられた幸せひとしお。
軽く備長炭で炙って温め香ばしさを添え、甘さも立ち上がる。てろんとたおやかな食感に歯が喜ぶ。クレソン、スナップえんどう、独活の野性味とそれぞれの遊ぶような食感を楽しむ一品でもある。

●揚げ豆腐、絹さや
揚げ豆腐からふくふくと湯気が立つ。和え物同様にこういう料理が心に刻まれる。貫禄と繊細を感じる。

●お食事
今回は3段階で頂いた。
①まずは光り輝く氷見のコシヒカリ一等米。まずはそのままひとくち。さらに添えてくれた氷見牛ごぼう巻きとともに。

②かほく市西山愛鶏園さん平飼い“もみじたまご”のたまごかけご飯。

③新タマネギごはん
とろとろに炊いた糖度の高い新タマネギが銀シャリのうまさに重なる。

●天然木の芽のアイス
舌の上で堂々と花開く鮮烈な風味と、尖った辛味を包み込むミルクの妙。美味。

●いちご大福
今春3度目のいちご大福。あぁ嬉しい。
ゴロッと大きなイチゴの山に雪のように求肥がかぶさる。ガブリとするとジューシーなイチゴの果汁が流れて来て、ほの温かい求肥の素朴でミルキーな甘さに溶け合い、最後にふぅっと小豆のアロマが鼻腔を抜ける。

お抹茶は陶芸作品水元かよこさんのお茶碗で。

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