訪問日

2022

04/18

「片折」春:カラスミれんこん餅、鱒寿司、桜餅(19度目の訪問)

春の片折。
片折さんは、もうずっと先まで埋まっている予約のお客さまを迎える怒涛の日々を送っていることと思いますが、そんな中でも新作が多々出ていて心躍りました。カラスミれんこん餅、鱒寿司、おこげ。さらに、つる幸初代河田三朗さんのDNAを継承する和風カニシュウマイと、春の風物詩ホタルイカが食べられて良かった。
甘味の桜餅に至るまでファンタスティックな回でした。

●よもぎ
よもぎは新芽を摘んで胡麻豆腐に。苦味が優しく風味が鮮烈で、体の細胞を目覚めさせてくれるようです。

●ヤナギバチメ お吸い物
もう説明の必要はないですが、何度味わっても毎回感動があります。今回はテイスティングの段階で昆布やや強めな感じでしたが、なるほどヤナギバチメにスッと溶け合っておりました。細胞に届く旨味。


●ヒラメ、サヨリ昆布締め

●和風カニシュウマイ
新湊の紅ズワイ
つる幸初代河田三朗さんのDNAを継承する一品。ふくふくと湯気が立つシュウマイ、味わいに淡い美味しさと品を置く。

●氷見まぐろ、ヤリイカ
少し寝かせたヤリイカをやや面を取りながら薄く短めに引いてあり、ツルツル滑るようにしなやかで、甘さも引き出されており美味でした。

●赤雲丹 小浜、新若芽 珠洲
福井の赤雲丹は一級品。めくみさんも片折さんもこれを求めて福井へ向かいますね。
食べられるのはしばらく先かなと思っていたので、はしりを頂けて予想外の喜びでした。

●カラスミ蓮根餅
小さなコロッケのような形状の、加賀れんこんを使った蓮根餅です。仕上げに炭で温めて、お醤油を塗ってくれます。紙に置いてくれるので、手に持ってガブリ。滋味豊かなもっちり弾力ある蓮根と、カラスミのほっこりとした食感と塩気が重なる。熱々の温度もご馳走。



●炭焼きのど黒
実は1皿で2度美味しい料理。まずはのど黒そのものの美味しさで、炭火焼きにすることによって滲み出した甘い脂が、口の中に迸ります。さらに、添え物のお酢でマリネした千切りレタスが、のど黒の脂を受け止めることによって、美味しさがパンッと開花。さっぱりシャキシャキ、ちょっとしんなりしてくるのも良く、のど黒の骨太な脂の旨味がソースのように絡みます。

●鱒寿司
心躍った新作。

鱒寿司は、富山の郷土料理の一つで駅弁としても定着しています。こちらは食べる時間を逆算して仕込んだ繊細な鱒寿司です。
酢漬けにした鱒は絶妙な厚みでしっとりとしており、意外にも貫禄ある味わいに振ってありました。中には蓮根のスライスが入っており、咀嚼する度にシャキシャキと軽快な音が鳴り響き、同時に鱒とご飯からの旨味も滲み出てきて、口内調理が完成。
絶品。

●白海老あられ揚げ
ボール状にしてあられを付けて揚げた白海老は、中は軽いレア状態。火入れをすることによって白海老がぷっくりと膨らみ輪郭が出て、甘さも増し、口の中で存在感を放ちながらとろけて消えていきます。

●ホタルイカ
活ホタルイカの目と口を片折大将と料理長が手早くピンセットで取り釜揚げに。ぷっくり膨らんだほかほかなホタルイカの可愛らしさよ。皮が薄く美味で、ホタルイカの“淡さ”も味わえる。


●煮アワビ 宇出津、アスパラ

●お食事
コシヒカリ一等米、氷見牛の八幡巻き 福井池田町の花山椒と、香の物、汁

・おかわりは、鮪漬け丼

・ヤナギバチメ天丼

・かほく市西山愛鶏園さんのもみじたまご たまごかけご飯

・おこげ
釜底の形状を利用して仕上げたおこげ。
通常おこげというと、香ばしくて美味しいけど歯にくっついてしまうイメージですが、こちらはサクサク歯切れがよく、水分の抜き方が秀逸だと思いました。煎餅の手前くらいの歯切れの良さ。

・梅干し
女将の裕美さんのご実家で作られている梅干しです(ご飯と一緒かお茶漬けにしたりできますが、お腹いっぱいだったのでそのまま頂きました)。
今では珍しくなってしまった昔ながらの田舎の自家製梅。蜂蜜などの甘さなく、塩気と酸っぱさに乗って、懐かしさも溢れてくる。

●桜餅
食後の満足感をより一層上げてくれる至福のお菓子。焼き上げたばかりの温かく程よい厚みの皮に、風味豊かで滋味薫るあんを包み、桜の葉の塩気が甘さを強調させながら雅な香りが鼻腔に広がる。

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