訪問日

2022

12/07

「片折」冬:香箱ガニ、寒鰤、ズワイガニ(22回目の訪問)

今回まず驚きだったのはしつらえで、18キロという氷見寒鰤の剥製が存在感を放っていました。大物でインパクトあり。1年がかりで作ってもらったそうです。

お料理は楽しみだったのは、何より前回も衝撃を受けた香箱ガニです。この季節、香箱ガニの身と内子・外子を甲羅に盛り付けてどのお料理店さんも出してくれますが、片折さんのは一味違っていて、内子がとろとろレアなのです。
ズワイガニは今回は時化で活が十分に入らず、個体から捌く様子は見れませんでしたが、逆にカニづくしではない方が、片折さんの面白さが味わえるので、ちょうど良かった。泣かせる古典レシピも何品か入れてあってとても満足でした。

●源助大根の風呂吹き
源助大根は加賀野菜の冬の代名詞の一つ。山のお水と昆布だけで炊いた、美しい風呂吹き大根の聡明な味わいで幕開け。

●お吸い物
カニ真薯というよりも、ギリギリの繋ぎで優しく寄せただけの片折さんお得意の椀種。つるん、てろんとした舌触りで、滑るように口に入ってきて、喉を滑っていき、出汁の帰り味の豊かな膨らみを堪能させます。

●香箱ガニ
別格の美味しさ。
通常はしっかり火が入って固まっている内子ですが、半熟卵の卵黄のようにふるふるで口溶けよく濃厚。レアな火入が素晴らしい、衝撃の美味しさなのです。
お客さんが口に入れるタイミングを逆算し、ほわほわとほの温かい状態で出してくれるのも美味しさが膨らむ要因。香箱ガニのおいしさを引き出した最上級です。

身を食べた後は甲羅酒にしてくれます。

●お造り ヒラメ、アオリイカ

●お造り 寒鰤
皮面に美しく包丁を入れた氷見の寒鰤。脂が良い感じで乗っている格別な美味しさ。

●鮑天ぷら、昆布塩
鮑は予め野菜出汁で炊いてあるためまろやかな味わいで、昆布塩と柔らかい弾力で優しい味わいが広がる。

●里芋田舎煮
片折さんの伝統レシピの中でも大好きな料理の一つです。氷見の原種の里芋を使用した煮物で、煮干しの風味を乗せてほんのりと甘く仕上げているのがポイント。ほっこり、しみじみ心まで入ってくる美味しさ。

●ズワイガニ 新湊
裏ごししたカニ味噌を甲羅に入れて炭火の熱で沸かさないように温め、蒸したカニ足をカニ味噌しゃぶしゃぶとして。蟹味噌は濃厚でまろやかで昆布のような旨味が広がり、聡明な蟹身と共に口中に鳴り響きます。

●金沢春菊の白和え

加賀野菜の一つ金沢春菊を白和として。朝どれでえぐみが無く、葉の厚みと柔らかさも歯に感じられます。

●鰤カマ
シュッとシャープな形のカマ。美しい狐色の焼き目は品のある香ばしさ、程よい脂が重なる。

●信田巻き
こちらもクラシックレシピを掘り起こした片折さんの料理。派手さはないですが和の真髄。
今回はまた格別だった気がします。
乾物の戻し方と出汁の含ませ方が秀逸。ゼンマイの凝縮した旨味と食感、それを受け止めるほんのり甘めの揚げが懐かしみを添えます。

●お食事 氷見のコシヒカリ一等米
今回のお変わりは、鰤の醤油漬け、ヤガラ天ぷら、かほく市西山愛鶏園さんのもみじたまごのせ。

●葛焼き
焼きたてのアッツアツを手で掴んでハフハフ言いながら頂きます。きつね色に焦げる皮目の香ばしさと、熱々だからこその程よい甘さで美味。

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