記念すべき10回目の訪問。なんだか感慨深い。来るたびに勉強させてもらっています。前回訪問から2週間強ぶり、と間を置いていませんが、いよいよ今年も活ホタルイカが出ていて心躍りました
●先付
山の雪解けをイメージした一皿で幕開け。片折さんが金沢市牧山で摘んできた野三つ葉、センナ、山葵の葉などをかぶのすりながしで覆い、菜の花に見立てた柚子を散らす。まさに今山はこのような景色なのだとか。山通いしている片折さんだからこそ知る風景で、寒さに耐えた春の味が上手に表現されていて感動がある。食べ進めるごとにそれぞれの持つ苦みや辛味といった個性が現れアクセントに効く。
●お吸い物 氷見毛ガニ
椀種は氷見の毛ガニを寄せたもの。何度食べても片折さんのカニ寄せは素晴らしい。黄金のお出汁は秀逸で、そのまろみと深みにとろんとした舌触りのカニのふくらみのある甘みが溶け合う。皆しばらく会話を忘れて味わいに浸る。
●ふぐ造り
●生クチコ玉じめ
先月、今月共に食べられて幸せ。今だからこその生で味わえるクチコは塩味軽やかで、火入れするとぷっくり輪郭が出て美味だ。
●干ぜんまい白和え
片折さんのこういう料理が心に響いて泣かせてくれる。派手さはないが和の真髄。そして懐かしみすら味付けにする。珠洲のぜんまいは干すことで凝縮された旨味が底力となりしみじみ旨い。やわらかく戻した程よい食感。咀嚼するたび浮かぶ故郷の光景と秀逸なおいしさ。
●白子粥
いつもは冒頭にくるお粥が中盤に。なるほどふぐの白子か。クリームのようにミルキーだが乳脂肪ではないので後味軽く、お粥の薄甘さを包み込み一体となる。これは衝撃の完成された美味しさ。
●ホタルイカ
今年も食べられた幸せ。今回のメインはこれと言ってもいいだろう。片折さんは活ホタルイカを準備し、目の前でホタルイカの目と口を手早くピンセットで取りしゃぶしゃぶにする。
ぷっくりぽんぽんに膨らむ。皮が薄く美味なのは今しがたまで生きていた証。ホタルイカの味が濃いので味付けはほんの少しだけ。天を仰ぐ美味しさだ。
添え物は原種の菜の花。目を閉じれば菜の花畑が広がるように風味が鮮烈だ。
●海鱒の炭火焼
レア感を残して炭火焼してあり、香ばしさと口溶けを感じるタイミングが同じ。ほどよく脂がのっていて一呼吸おいて甘さがとくとく広がり「あぁうまい」と箸が止まらない。身は大きいがすんなり胃に収まる。
●宇出津アワビ
宇出津のアワビは煮アワビとして。丁寧に包丁が入れてあり出汁あんが絡まり口まで一緒に運ぶことができる。とろんというくらいのやわらかな食感。悦楽に浸る。
●鰯つみれ
片折さんで鰯つみれは初。このクリアな出汁は鰯に合わせていりこ出汁。天然アサツキを添える。
●ままいかイカ大根
小ヤリイカかしら、漁師さんの間ではママイカと言うらしいです。干ぜんまいに同じく、こういう料理の凄みよ。
●お食事
今回は3段階で楽しませてもらいました。
①光り輝く氷見のコシヒカリ一等米。まずは銀シャリでそのポテンシャルを味わう。
②たまごかけご飯
かほく市西山愛鶏園さん平飼い“もみじたまご”の卵黄と削り節。説明不要の美味さ。
③漬けマグロ丼
●イチゴ大福
先月↓今月と今シーズン2度味わえて本当に幸せでした。