来人喜人 はぎ原

きときと はぎわら

HOKURIKU TOP100 RESTAURANTS
メイドイン富山が詰まった日本料理店。スペシャリテの究極ます寿司は何度食べても美味しい!ディナーは食後にお茶室へ。

フォトギャラリー

富山市堀端町にある日本料理店。店主萩原豊さんは、富山の地元食材をはじめ、器も富山の陶芸家や作家にこだわり、料理として表現。富山の風土や生産者さんの顔、人々が紡いできた営みまで見えてくるようです。2021年5月発表のミシュランガイドにて1ツ星を獲得されたことで、ますます注目度が高まるはずです。
萩原大将は、これからより一層精度を上げていくために、2021年6月からはディナーの席数は限定して営業しています。

同店は、2011年6月に富山駅前で創業し8年営業され、2019年7月からここ堀端町に移転。以前の店舗よりも広さが5倍以上ということですが、移転先にこの場所を選んだ大きな理由に挙げられるのはお茶室だそうで、なんと富山桜木町にあった頃の料亭金茶寮のお茶室がここに移築されているんです。店内の敷地内に“離れ”としてお茶室があるなんて素敵です。

カウンター席から厨房を見上げると、富山湾と立山連峰を描いたステンドグラスが端から端まではめ込まれていて、パノラマで連峰を眺められます。

来人喜人 はぎ原 の器

さらに特筆したいのは器です。

例えばこちらは、越中瀬戸焼釈永由紀夫さんの作品で、立山の標高2405mに位置する“ミクリガ池”を象ったもの。自然の荒々しさと神秘的な美しさが、陶器とガラスで見事に表現されています。

こちらの塗り物のお椀は魚津漆器で、立山連峰が幾何学模様で沈金にて描かれています。見返しには「山」、見込(底)部分には「富」の文字が描いてあります。

離れのお茶室

ディナーでは、食後にお茶室に移動して店主のお点前でお茶を頂くことができるんです。和蝋燭がゆらゆらと灯る中でのお茶席の趣。唯一無二の演出です。

来人喜人 はぎ原 のスペシャリテ

ます寿司

コースの中で特に注目なのは、開業からずっと出しているというスペシャリテのオリジナル“ます寿司”です

ご存知“ます寿司”は富山の郷土料理として有名で駅弁として広まりお土産として購入する方も多いですが、このます寿司は、地元の食文化を教えつつ、スペシャリテがなんたるかを今一度教えてくれます。「あのます寿司がまた食べたい」足を運ぶ理由のひとつにもなるおいしさ、それが“はぎ原のます寿司”。鱒とご飯の間には、鱒の子ととろろ昆布が挟んであります。なるほど、鱒の子の魚卵のおいしさが肝で、コクがありとろっとした魚卵が卵黄のような役割を果たし、ご飯に溶け合い全部をまとめ上げておいしい余韻が残る。レストランでないと提供できない繊細さ。
食べる直前に“はぎ原”の焼印を押し、醤油の泡を添えてくれます。

この焼き印はオリジナリティーを出すためだけではなく、香ばしさを添えることにも一役買っています。この不思議な形をしたプレート皿は富山県の形で、越中瀬戸焼の吉野香岳さん製 “TOYAMA 皿”です。

豆乳鍋

はぎ原さんのコース終盤で楽しみなのが豆乳鍋です(出ない日もあります)。季節で食材は変わり、カワハギや鱧、池多牛の時もありました。豆乳に出汁の旨味が調和し、ミルキーでさっぱり美味しい。