秋の訪れと、刻一刻と移ろう日本の季節の刹那の美を感じさせてくれるコースでした。
●前菜
濃萌黄が映える虫籠にて秋の前菜が登場。なんだか、リーンリーンと鳴き声が聞こえてきそうです。添えてあるススキも夏から秋への移り変わりを教えてくれます。
籠を外すとススキの葉で折った鈴虫を発見。これは大将が1つ1つ折ったもので、細やかな演出に嬉しくなります。
万願寺唐辛子とジャコの和え物、カラスミ、里芋の衣被、銀杏、鱧の子のレモン流し、水タコ南蛮漬け
一品一品に丁寧さが感じられる盛り込みです。
●ます寿司 スペシャリテ
●お吸い物
中秋の名月のお月様を月豆腐として椀種で。重陽のお節句の菊の花、黄色と紫が美しいですね。
●滑川アラ
●滑川のど黒
皮目に炭を押し当てることで焦げ目を付けて香ばしさを添える。美味しい脂も滲み出してレア感も残す。
食用花は、富山県南砺市の千華園さん。
●魚津毛蟹
●入善鮑 フライ肝ソースがけ
●池多牛
富山の池多ファームさんの牛に卵黄の天ぷらをのせて。
池田牛は、飼料は自家製産にこだわり、県産のコシヒカリの稲わらや遺伝子組み換えなしの配合飼料などを与えて育てています。その池多牛をすき焼き風の味付けで、卵黄の天ぷらは箸を入れると卵黄がソースのようにとろとろ流れ出てコクを加える。
●花オクラの酢の物
通称花オクラと呼ばれる、和紙作りに使用するトロロアオイの花を酢の物として。立山町で大将が摘んできたものだそうです。薄黄色のひらひらとした大きな花弁が特徴的で、オクラと似ていますが、オクラと花オクラは別物で、花オクラの果実は硬くて食べられないそうです(花だけ食べます)。
とろとろとした薄い花弁が何枚にも重なっていて、咀嚼すると粘りが出てきてつるんとした舌触りと食感が面白い。繊細な妙味。
●豆乳鍋 鱧
毎回楽しみなはぎ原さんの豆乳鍋は、卓上コンロでしゃぶしゃぶをしながら楽しみます。メイン食材は季節で変わり、今回は鱧でした。出汁は豆乳でミルキーだがあっさりうまい。
食材からの旨味が出て煮詰まってきた豆乳スープには、ラーメンを投入して、2度美味しい。
●太刀魚ご飯
●デザート
大沢野の白イチジクや呉羽梨など、秋の富山の果実を堪能できるデザート。
この後はお茶室に移動して、店主のお手前でお薄を頂いて終演となります。
明かりは和蝋燭だけという、昔の光でお茶を頂けるというのも情緒があって素敵なのです。