今回は3月1日に解禁になったホタルイカづくしで、いろんな食べさせ方をしてくれて堪能できました。昨シーズンは不漁でしたが、今シーズンはこれまでにない豊漁なのだとか。
そして、萩原さんは滑川の魚屋ご出身で、毎日弟さんが珠玉の魚を選んでいるので、鮮魚のレベルが高い。
一献は梅酒。
●先付
葉山葵おひたし、村雨たまご、ウド甘海老きゅうり串、ナマコ酢、ヨモギ麩田楽
桜の花を添えて。
●ます寿司 スペシャリテ
これが出てきたらやっぱり嬉しい。スペシャリテたる完成された美味しさに心踊る。
●お吸い物 桜鯛と桜の葛どうふ
●ボタンエビ、のど黒
ボタンエビと軽く昆布締めにしたのど黒。お醤油か滑川の深層水塩ポン酢で。のど黒はいい脂の乗りで、昆布締めもちょうど良く美味。
●ホタルイカ造り、竜宮そうめん
ホタルイカは活で準備してくれました。あらかじめ目と口をピンセットで一つ一つ取ります。
ホタルイカの胴体部分は丁寧に内臓を出してお造りとして。テッサみたいに何枚かまとめて食べたい衝動に駆られます。ホタルイカの脚の刺身は富山で“竜宮そうめん”と言われます。極細の麺のようにさわさわと口の中で踊る。内臓は加熱調理し別添えで。なんて贅沢なお造りだこと。
●カラスミ餅
箸休めとして出してくれたのは、カラスミ入りお餅の炭火焼を海苔でクルッと巻いたもの。まずは海苔の香ばしいパリッ。カラスミの旨味とあるまるい塩味がお餅にぴったり。
●滑川ズワイガニしゃぶしゃぶ
名残のズワイガニ、食べ納めです。コース冒頭に活ズワイガニを目の前で手際よく捌いてくれました。
足の部分はしゃぶしゃぶとして、しかも食べ比べです。手前から奥に向かうに連れてしっかりと火入れをしてあります。サッと軽く湯通ししたものが一番鮮明に甘さが際立っていました。加熱するごとに繊維の輪郭が出て、ぷっくりちゅるんと舌触りが良くなります。ほんの少しの火入れ度合いでガラッと味を変えるカニの面白さ。
●カニ出汁スープ
カニのエキスが凝縮したスープ。カニ身も入っていますが、これはスープが主役。さらにカニのエッセンスに葱油の香味が上手く調和しており、甲殻類の美味しさを昇華させてあります。
●ホタルイカ炭火焼
香ばしく焼いたホタルイカ、中からピュッと飛び出す肝が濃厚なソースの役割を果たします。
●カワハギ豆乳鍋
カワハギ、八尾の野芹、魚津の新若芽を卓上で豆乳鍋として。この豆乳スープは出汁のほうが多い出汁割りで、とても美味しく余さず飲み干しました。野芹の鮮烈な野趣がアクセント。若芽はとろんとやわらかく美味しいこと。
●ホタルイカご飯
クライマックスに再び心が弾む。土鍋の蓋を外すとぷっくり膨らんだホタルイカの花が咲く。ああ、もう立ち上る香りでおいしい。刺身とも炭火焼ともまた違う、ふっくらしたホタルイカがご飯に馴染みます。
●デザート
器とシルバーのスプーンフォークは釈永岳さんの妹である釈永維さん製で、これははぎ原さんオリジナルで作ってもらったものなのだとか。とにかく器へのこだわりがすごい。
最後はお薄を頂き終演。