一本杉 川嶋

いっぽんすぎ かわしま

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七尾に光る新星!もはや予約困難の日本料理店。建物は元万年筆屋、シンボル的な有形文化財

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能登七尾の一本杉通りに、2020年7月29日にオープンした日本料理店。オープンから1年経たない間に、「ミシュランガイド北陸2021 特別版」(2021年5月19日発表)では1ツ星を獲得しました。

店主の川嶋亨さんは七尾出身。京都「桜田」さんなどで修行後、和倉温泉「のと楽」内にある「割烹 宵待」の料理長として腕を振るってきました。さらに、35歳以下の若手料理人のための日本最大級の料理コンテスト「RED U-35」2018では、3次審査を通過しファイナリストとして“ゴールドエッグ”を獲得(狭き門です)。JALとのコラボで「RED U-35 ~若き料理人たちによる機内食~」で料理提供し、JAL国際線機内食も担当。
その川嶋さんが、独立開業場所に選んだのは故郷の七尾市です(私の地元でもある)。建物は、風情漂う一本杉通りの一角にある、築80年の有形文化財でもある元万年筆屋をリノベーションしています(以前は雑貨屋さんだった)。

とてもお洒落な外観で、一本杉のシンボルでもあるので、地元七尾の人ならみなさん知っているのではないでしょうか。2階の窓は万年筆の筆先の形をしており、入り口頭上をよく見ると、インクの壺と万年筆が発見できます。
店名に“一本杉”という土地の名前を入れたのは、祇園とか銀座のように全国に知られるブランド地名になってほしいという気持ちから。

店内は奥に長い造りで、カウンター席が並びます。それ以外に個室も1つありますが通常は不使用です。

団十郎茶色の土壁が風合いを感じさせます。カウンターは珍しいタモの一枚板。席に着くと最初は照明が落とされており、一本杉通りにある創業1892年の和ろうそく「高澤ろうそく店」さんの和ろうそくが灯っています。植物ロウの明かりというのは、なんだか骨太の味わい深さがあって良いものです。

川嶋大将の料理へのこだわり

食材は能登産にこだわり、川嶋大将が自ら能登を巡って見つけ出した珠玉の旬食材を使用しています。料理は実力の上に花咲くセンスも感じられ、演出も考えられており、プレゼンテーションにも説得力があります。席数が7というのも良く、川嶋さんの目が行き届く数で、客席側からも手元がじっくり見物できます。

命の出汁

料理の中で重きを置いているのは出汁。修行先の京都「桜田」の大将に「出汁だけはケチるな」と言われていたそうですよ。

目の前で一番出汁を引いてくれます。鰹節は、枕崎の一本釣りの本枯3年熟成の特注品で、本来は3回燻すところを5回しているのだそうです。昆布は、一本杉「しら井昆布店」の3年熟成の利尻昆布。お水は、中島町の“藤瀬霊水”を汲みに行っています。

薬味

お造りに添える山葵は能登ではなく広島のもの。京都大阪の修行時代から馴染みがあるということでお使いなのですがなるほど絶品で、クリーミーで美味です。辛味よりもだいぶクリーミーさが前に出ていて驚きました。

塩は能登島、醤油は一本杉の「鳥居醤油」を使った土佐醤油です。

藁焼き

藁焼きは、店舗を模してデザインした箱型の可愛らしい燻製箱にて。夏に能登島で行われる“向田の火祭り”は「日本三大火祭り」のひとつにも数えられますが、そのときに使う藁を使用。藁の懐かしみある風味が魚に乗ります。鳥居さん醤油に酢橘を加えた自家製ポン酢を出してくれます。

ご飯

ご飯は毎回、中能登の無農薬棚田米か能登島の有機栽培米を営業時間前ギリギリに精米し、精米仕立ての米を、能登島「陶房独歩炎」藤井さんの土鍋で炊きあげます。土鍋の蓋の重さが通常2倍ほどあり、しっかり圧力がかかって美味しく炊き上がります。水は藤瀬霊水。