これぞ小松さんの夏と言えるお献立の数々でした。
毎年の定番であり、楽しみにしているお料理が多かった印象。
今回特に印象的だったのは、鮑飯蒸し、とうもろこしのすり流し、丸茄子焚き合わせ、蛤ご飯です。
カウンターの向こうのアケビの葉が、夏の山の光景を思わせてくれました。
日本酒を注文すると、ガラス製もしくは陶器の酒器で選ばせてもらえるのですが、どちらを選んでもかなりの種類から選べるようになっていて心踊ります。
加えてガラス製の酒器は、バカヤやラリックの100年前や200年前のアンティークが揃います。
こちらは、ラリックの「NIPPON」シリーズ。
球状の涼やかなデザインが施されていて、気品の中に可愛らしさがあります。こんな作品に出会えるのも小松さんの凄さ。
毎回勉強になります。
●鮎 犀川
今日犀川で獲れたばかりの鮎を、山椒オイル漬けにして焼き上げてあり、ふんわり青い風味を乗せてあります。
●鮑の飯 珠洲
鮑は存在感ある大きなカットに心躍る。歯が喜ぶような優しい弾力で、程よい輪郭のある餅米と咀嚼すると、鮑の旨味と餅米の野趣と滲み出す甘さが重なり美味。
●お吸い物 鱧、キクラゲ
小松さんで毎夏出てくる鱧のお椀です。
吸地は完璧なバランスで、風味、奥行き、余韻もさすがと言えます。鱧は幅がしっかりある大物で、キクラゲも歯で厚みを感じるほど立派なものでした。
●お造り
アラ 輪島、平目 七尾、イカキャビア
イカは丁寧に包丁を入れてあるためねっとり舌に絡み、その甘さをキャビアの塩気がさらに引き出す。
●カキフライ 千里浜
●とうもろこし すり流し
絶品。とうもろこしは少し粒感を残してあり、フレッシュでシャキシャキした食感があって美味。中にはたっぷり雲丹が入っており、濃厚な雲丹の甘さが重なります。
●のど黒
ふっくらと焼き上げた美味しいのど黒。こういうシンプルな料理を完璧に仕上げてくるところに、大将の仕事の素晴らしさが表れています。
●鰻玉
●丸茄子 大阪 炊き合わせ
常連さんはご存知、小松さんで毎年出してくれる夏の定番。
ソフトボールくらい(いやそれ以上かな)の大きさの丸茄子は、炊き合わせで。
果肉がギュッと詰まっていて、風味にフルーティーなニュアンスあり。出汁を吸って素材の甘さと重なり、さらに舌触りが滑らかで美味。これがメインと言っても良いほどです。
●蛤ご飯、四万十川海苔汁
千里浜産蛤の蛤ご飯です。蛤の出汁あんをかけてあり、蛤の旨味がとろりとご飯を包み込みます。
コース中で、また違った旨味のアプローチで、新鮮味もあり。優しくほっこりと胃袋を撫でてくれるような美味しさ。
●葛切り 吉野葛
流したての葛切りは、夏に楽しみにしている小松さんのデザート。
出来立てだからこその透明感ともっちりとした食感。するりと喉を滑っていくのが気持ち良い。黒糖だけで作った黒蜜は、ほろっと香ばしくコクがあるのにさっぱりしており美味。