貸切予約の1席を譲ってもらって、前回から約1ヶ月後の5月に訪れることができました。
桜の開花に心奪われた春から、新緑がまぶしい季節へ。初夏を思わせる食材使いが目立ってきて、なんだかパワーがみなぎってくるようでした。
カウンターでは、青々とした蕾のオオヤマレンゲのしつらえが、空間に生気を添えていました。
●稚鮎、からすみ、そら豆
今だけの繊細な美味しさ。揚げた稚鮎は泳いでいる姿を切り取ってきたよう。鮎の香ばしさと優しい苦味に、海苔の高貴な風味が重なる。
●お吸い物 活ヒラメ
蓋を外すとゆらゆら美しい身。とても立派な大きさのヒラメです。
香りを聞いてから一口含んだ吸い地の、広がりと返り味と余韻は筆舌しがたい美味しさで、皆さん夢心地モードに。貸切カウンターがしばらく静かになります。目を閉じて味わいに浸りたい。
●お造り 明石鯛
小松さんで頂くお造りは、いつも水分量が完璧で、しなやかで柔らかくてその食感にうっとりします。
●お造り イカ、バイ貝
●お造り メジ 氷見
●粟飯(あわめし)、鰻
小松大将のこういうお料理が本当に大好きです。粟の小さい粒感がさわさわと舌の上で遊び、滋味をまろやかな出汁あんがまとめ上げる。
●鯛 真子、白子
繊細な食材の単味を立てつつ素材力を発揮させてあり、和食のスピリットを感じる一品。さわさわとほどける真子は舌触り繊細で、含ませたお出汁の雅な薄甘さがスッと寄り添う。
●蓴菜、雲丹
大将が使う蓴菜はお気に入りの青森産に限ります。心も洗われるような聡明な味わい。
●甘鯛、木の芽
焼き物は甘鯛で、小松大将の新コレクションの牡丹の器で出してくれました。吸い込まれるような濃藍の葉に、大きな花弁が開いており、料理を引き立てます。
●炊き合わせ 賀茂茄子
夏になると小松さんに来る楽しみになっているお料理。もう少し季節が進むと福井県の吉川なすになります。今回は賀茂茄子でした。
茄子の繊細な甘さと旨味を最大限引き出し、お出汁に調和した完成された一品。食感も絶妙で、輪郭もありとろとろ感もあり。
●新生姜ご飯
今回は雑炊ではなく、土鍋炊きの新生姜ご飯。湯気と共に新生姜の繊細な風味が広がり、鼻腔をくすぐる。ヒラメと一緒に炊き込み、上品な旨味を添えているところもお見事。
●草餅
熱々でほちゃほちゃと柔らかいお餅を頬張る喜び。蓬の鮮烈な青い風味と粒あんの滋味が重なり、力強く雅やかで最後に良いインパクトを残します。