訪問日

2019

11/25

「料理小松」冬:香箱ガニ、加能ガニ、能登ブリ

10月3日から約2ヶ月ぶりの訪問。今回も22000円コースで。お花は山茶花かしら。膨らむ蕾の先端に躑躅色が少し顔を覗かせます。
今の時期の主役食材はなんといってもカニとブリですが、小松さんの工夫と技術力が光り、ここで食べる意味を大いに感じました。地物で揃えてくれて喜びも膨らむ。
お酒は結構な量を行ってしまった今回。熱燗黒帯悠々で体を温めてからの獅子の里、手取川古々酒などなど。

ガラス徳利は大正硝子の国産アンティーク。現代のガラスとは違う、この曇りや歪みに味がある。

●香箱ガニ
まず最初に香箱ガニとは嬉しい幕開け。明(みん)の時代の、という青絵付けの器にカニの紅白が映える。カニ足、内子外子には少しご飯を混ぜ込んであり、身がまとまり甘さも添え、贅沢なすしのように食べられます。最初からもう満足。

●お吸い物
蓋を外すと現れるのは、シンプルでインパクトある長方形のカニ真薯。出汁から香り立つ鰹の風味、真薯はほわほわととろける舌触りが夢見心地にさせてくれました。

●マコガレイ七尾
大樋焼のアンバーに隠れるのは、艶と光沢のあるマコガレイ。一目で分かる「おいしいやつだ」。ムチっとした弾力を感じるたび、蓄える甘さが口に広がる。

●金石ズワイガニ
冬の王様ズワイガニ、地元漁港の金石(かないわ)、金沢港水揚げの“加能ガニ”が登場。カニ足に花が咲き透明感が残るので、軽くしゃぶしゃぶにしたものかと思いきや、これはピュアなオイルをサッとくぐらせた“油通し”ということで驚く。そのまま食べると少し油を感じるのでポン酢につけて。しゃぶしゃぶよりも水っぽさがなく輪郭が際立ち、ムチムチ弾力あり瑞々しさも感じる。器は白井半七の乾山写し。

●鰤
12キロの能登ブリは大根おろしと共に。艶っとした身が食べる前からなんとも美味しそう。そのままお醤油をかけて。程よく脂がのって、説明不要のおいしさ。旬のおいしさに浸ります。

●蒸ガニ
ぬくぬくとした蒸し立てのおいしさよ。カニ味噌をソースのように絡めて口に運ぶと思わず目尻が下がります。器は明治の古九谷。

●玉じめ
天然茸シモオコシ(キダケ)の玉じめ。玉じめは五感をすり抜けそうな淡さで、天然茸の野趣を余韻に残します。

●八寸
鱈子の白子ふくめ煮、能登小木の鯖の鯖棒寿司、海老芋、カラスミ、あんぽ柿チーズ
余計なものを削ぎ落とした小松さんの八寸、好きです。この八寸からも日本料理の真骨頂、“素材を立てる”が感じられる。海老芋から上がる湯気。白子なんてもう味の添え方が絶妙。

●ブリカマ
古風で味のある器は、古いアンティークの白磁と思いきや、若手の人気作家 安齋新さんの作品。
皮目を強調したブリカマは香ばしさがザクザクした食感に重なります。ほわっとふかふかした白身との効果的な対比。

●甘鯛の道明寺粉揚げ、かぶらのみぞれがけ

●フグの卵巣ぬか漬け お茶漬け

●代白柿
奈良の江戸柿である“代白柿”を特別製法で渋抜き完熟させたもの。うるうると濡れた瞳のような艶。ゼリーのような透明感。味わいは、いわゆる柿の甘さとは一味違い、ガンッ!と甘いわけではなくとても品があり「お見事」と言いたくなります。これはすごい。

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