2月の小松さんは節分のしつらえです。
お料理は大将らしさが発揮されていて、本当に感動的でした。飾りっ気は無いが端正な美しさがあり、経験とセンスによって導き出された大将の美学を感じる料理の数々です。さすがです。
そして、今回も器コレクションが増えていた印象です。
●黄身酢がけ
パッと鮮やかな黄色と、どっしり貫禄のある大樋焼(9代)がまず目を引きます。この器は撃ち抜かれる。
黄身酢に隠れているのは、菜の花、車海老の昆布締め、飯蛸、子持ち昆布。春を漂わせる一品で幕開け。凛として品のある美味しさ。
●お吸い物
ふっくりとしたお餅のような白子に、空豆という珍しい組み合わせ。ふっくら食感の白子に、空豆の青い風味と香り高い出汁が広がり鼻腔を抜けていく”口福”と、ゴージャスな鶯宿梅蒔絵の美しさの”眼福”。
●お造り 鯛 明石、アラ、甘海老、煎り酒
器は、永樂 和全 古清水写し
●お造り メジ、生岩のり
程よい脂の乗ったメジの美味しいこと。生岩のりのしゃくしゃくとした歯応えと風味も抜群で、外海の荒々しさが目の前に浮かぶようでした。
●生クチコ
磯の香り立つスープにゆらゆら揺らめくクチコ。生を使用しているため、火入をすると輪郭が出てちゅるんとした舌触りに。
●海鼠 七尾、このわたがけ
クチコからの流れで海鼠シリーズ。海鼠のこのわたがけで日本酒が進んでしまう。
●あん肝
ふわっとムース感のあるタイプとはまた違った、ややクラシックな味付けが小松さんのあん肝。
●カニ蒸し寿司
ほこほこと温かいカニの蒸し寿司です。蒸すことで開いたご飯の甘さに、まろやかなお酢の酸味とカニがマッチし一体に。
●のど黒 輪島、すずか
のど黒に添えてあるのは柑橘の「阿波すずか」。スダチと柚子を掛け合わせた品種で、果皮まで食べられます。すずかはオレンジのように濃厚で、果汁の酸味とほのかな苦味が、のど黒の豊かな脂にアクセントとなっていました。
●海老芋、蕪みぞれがけ
地力を感じる味わい深い海老芋でした。お食事前に野菜の印象付けるこういう一品も小松大将らしい。
●浅利雑炊
定番のお食事、雑炊です。今回は浅利で春の予感。浅利の旨味が溶け合い、清楚で綺麗な味わい。
●粟(あわ)ぜんざい
目を閉じて味わいに浸った最後の一品。
粟の細かい粒感がサワサワと広がり舌に遊び、穀物の滋味が余韻。能登大納言の趣のある旨味とエレガントな風味にマッチし、本当に素晴らしいと思いました。
お献立の流れとしても大変素晴らしくて、コースの満足度を高めていました。