訪問日

2022

05/19

「料理小松」初夏:稚鮎、鱧、ヒラメ、柏餅

前回の訪問では、長年小松さんでサービスをされて器なども全て把握しているベテランさんが辞められて、表をしっかり任せられる人がいないタイミングだったので、正直サービス面で問題があり、料理にも影響がありました。が、短い期間で改善してバシッと決めてきているのはさすがだったし(18:30開始で最後のお菓子が出切ったのが21:05でした。)、お献立構成も良かったし、小松大将の本領を発揮されていました。
実力の高さがバシバシ伝わってくる、「料理小松ここにあり!」といったコースでした。
ただ、(いつも通り小松さんスタイルで)食材は石川県の地物をメインで使用しているわけではありませんが、卓越した料理の腕とセンスは毎回勉強になります。
今回は特にお椀、粽と鯛白子、賀茂茄子、柏餅に感動がありました。

●稚鮎天ぷら 琵琶湖
先付で天ぷらが出てくるのは小松さんで珍しいですが、温度感ある料理で直球で稚鮎の繊細さと旬を感じられました。

●鱧 お吸い物
お椀に咲く美しい純白の鱧。とにかく吸地が素晴らしく、鰹と昆布が絶妙なバランスでした。鰹の風味がスッと立ち、昆布のまろやかな旨味がとくとくと波紋する。返り香の余韻まで美味しい。無言で実力を見せつけられるお椀でした。さすがです。

●お造り ヒラメ
2.2キロのヒラメは、エンガワの幅からも立派な個体を想像できました。しなやかでみずみずしく、脂が乗っていて美味。

●お造り ムラサキウニ
ムラサキウニは、淡路と北海道を食べ比べにて。アカイカは身の内側から丁寧に包丁を入れ、甘さを引き出してあります。

●お造り 鳥貝 舞鶴、野芹

●鮑
鮑は吸地よりも濃いめの出汁で炊いてから、そのあと6時間半蒸してあります。優しい弾力あり、鮑の美味しさを引き出してありました。

●甘鯛粽すし、甘鯛白子
粽の巻き一つにも、小松大将の丁寧な仕事が伝わります。煮含めた真鯛の白子は、艶かしいお出汁の含ませ方と味の添え方が秀逸。

●のど黒 輪島

●賀茂茄子 京都
毎年楽しみにしている福井の吉川なすはまだ先ですが、この賀茂茄子も素晴らしくてびっくりしました。メロンくらいのどっしりした大きさの茄子で、食味は繊細で、きめ細かくシルキーで絶品でした。

●生姜ご飯
〆が雑炊でないのは、小松さんでは珍しく思いました。
余計な物を削ぎ落としたシンプルな生姜とお揚げさんだけの炊き込みご飯で、スッと生姜の香りが立ち、繊細でさっぱりしていて、あっさりと胃袋に収まりました。岩海苔の赤出汁も美味しかった。

●柏餅
ここでしか食べられない、作りたてほちゃほちゃな柏餅です。手に持ったらとろんと垂れるくらい柔らかく、熱々の温度と共に蓬の緑の風味が口いっぱいに広がります。これは絶品。食後の幸福度を高めてくれるお菓子でした。

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