春の営業が出来なかったのと、営業開始してからは席数制限されていて予約困難だったのとで、前回から8ヶ月ぶりの訪問になってしまった小松さん。秋の回、楽しみに伺いましたが、今一度別格の凄みを教えてくれました。
●秋刀魚のつみれ 松茸
小松さんのさすがの実力の高さと貫禄を見せつけられる最初の一品。口どけ良いデリケートなつみれがほろりと澄んだ出汁に溶け合う。器は大樋焼の九代長左衛門作。ぼてっとどっしり丸みがある。
●松茸土瓶蒸し
松茸は珠洲産の能登松茸で。強い香りにうっとり。胃から体に染み渡るような美味しさで、しばしこの贅沢に浸る。
●鯛
楽焼の壷々透で鯛造り。締まった身の食感良さと湯引きした皮の美味しさ。土佐醤油と煎り酒で。
●七尾の車海老
特大サイズの活七尾車海老を調理してくれました。海老味噌醤油も良い。
●福井シロカワカジキ、マグロ
シロカワカジキは脂にしっかりと旨味があり、マグロと同等のインパクトを残す。器は初代矢口永寿。
●栗蒸し
大将がお気に入りの能登門前の栗をマコガレイと共に栗蒸しとして。栗がとにかく美味しい。特に甘さは加えてないそうですが、口に入れると甘さと滋味が立ち上がって、口溶けが和三盆のよう。
●焼すっぽん
大津のすっぽんを塩焼きで。皮目パリッと香ばしく、肉はジューシーで跳ね返す弾力あり完璧な仕上がり。絶品。
●八寸
小松さんらしい骨太さも感じさせる八寸。子持ち鮎は番茶で3日炊いた煮浸しで、やわらかく香ばしさが鮎の苦味にスッと溶け合っていました。さらに、カラスミ、地のあん肝、能登町の柿を穴水で加工したあんぽ柿、無花果胡麻ダレがけ。
●かぶら
地元のかぶらの炊き合わせ。水と昆布だけで炊いたそうですが、とろんとやわらかく繊維を感じず甘くてかぶららしい存在感もあります。甘鯛も添えてありますがかぶらが主役。
●天然茸ぞうすい
シモオコシ、ナメコ、コノミタケ、松茸の秋のぞうすい。コノミタケからの旨味が出汁のベースとなり、そこにそれぞれの茸の妙味が乗っている。秋の山の光景が脳裏に広がるようだ。
●代白柿
奈良の江戸柿である“代白柿”を特別製法で渋抜き完熟させたもの。今年も出てきて嬉しい。うるうると濡れた瞳のような艶でゼリーのようにとろんとろん。江戸後期の伊万里焼で。