訪問日

2019

11/12

「蕎味 櫂」冬:カマスのそば寿司、合鴨つみれそばがき、フグの子そば

●先付
今がまさに季節の香箱ガニが、霙(みぞれ)を思わせる蕪のすりながしに隠れています。もうこんな季節だなぁと味わう香箱ガニのカニ足と内子外子、そのおしいさに心も舌も喜ぶ。蕪のサラサラ流れるような舌触り、ポワっと立ち上がる甘さに胃袋が撫でられるよう。そばの実のあしらいも櫂さんらしく。

●カマスのそば寿司
食べる前からもうその繊細さが舌で想像できるような美しいそば寿司。あしらいの葉の色づきがお皿で異なり、景色を変えてあるのも一興。

●お造り 七尾のヒラメ、珠洲蛸島のアオリイカ

●八寸
白子と能登もずく、金沢春菊と輪島の毛蟹、いくら長芋

●お吸い物
合鴨つみれ、そばがき、珠洲松茸
蓋を外すと松茸の風味がふわりと。端正な合鴨つみれ。そばがきはキメ細かくもっちりで、口の中にとろとろつるんと滑り込んできます。美味。この繊細を頂ける喜び。

●ふぐのこそば
石川県を代表する珍味である、通称“ふぐの子”はふぐの卵巣ぬか漬けのこと。お酒のアテやご飯のお供にも最高です。味わい的にカラスミのようなニュアンスというとわかりやすいでしょうか。
おそばはオイルで和えつるつると滑り良くて、ふぐのこの粒感も快感。塩気と発酵食ならではの旨味が、上手に極細のそば切りに寄り添います。

●ゴリ佃煮
通常ゴリの佃煮というと甘さ力強くてねっとりした印象ですが、同店のゴリ佃煮は保存食ではなく料理としての佃煮で、揚げたゴリのサクサクと歯切れの良い乾いた音が口の中で鳴ります。小さい身1つ1つが美味しい。

●才巻海老天麩羅
あまり天麩羅は得意ではない私ですが、この天麩羅が絶品で「うまいうまい」と興奮してしまった。衣はカリッと乾いた音を立てるタイプではなく、ふわっとしており海老をやさしく内包。海老の頭の部分は、香ばしい殻から濃厚な海老みそがじゅわっと出てきて、ソースの役割りを果たす。うまい。

●そば
シメのそばは、そばつゆに薬味は山葵ではなく辛味大根で。辛味大根の清涼感がそばを引き締める。

●水菓子
水羊羹、羽咋無花果、あんぽ柿チーズ
とても瑞々しくて滑らかな絹のような水羊羹。最後まで手を抜かないデザートに満足感がより一層高まります。

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