訪問日

2021

10/25

「片折」秋:能登松茸の回(16度目の訪問)

今年も楽しみにしていた能登松茸の回。この期間は超超超予約難易度が高く、1年以上(いやそれ以上前)から予約が埋まっています。お席頂けて本当にありがたい事です。
しかしながら天然のものなので、どれだけ出ているかは当日ではないと分かりません。この日も、昼過ぎまでかかって珠洲で見つけてきた能登松茸を準備してくれました。
松茸は当日の天候だけではなく、生育の段階での天候にも左右されるため、入荷が少ない年やどう頑張っても入らない日もあるので、当日どれくらい入るかは本当に運なのです。
片折さんが自ら能登を巡って手に入れた能登松茸。登場と共に強い香気が広がります。能登松茸は特に香りが強く、他の産地の物とは違う、独特なニュアンスの香気があります。

●能登松茸刺身
スッと真っ白な生の能登松茸をまずは少しだけ。パキンと歯切れが良く、目が覚めるほど強い香りが広がり、旨味の余韻がいつまでも続きます。まず最初の一品からインパクトあり。

●能登松茸お粥
これは初年度から出している料理。薄くスライスした能登松茸がお粥に溶け込み舌を撫でて、風味と共に食道を落ちてゆき胃袋を温めます。

●毛蟹 お吸い物
真薯というよりも、ギリギリの繋ぎで優しく毛蟹を寄せただけの椀種。つるん、てろんとした舌触りの毛蟹が滑るように口に入ってきて、喉を滑っていき、出汁の帰り味の豊かな膨らみを堪能させます。

●クエ、カジキマグロ

●迷い鰹
新米の藁でふわっと燻製香を付けた鰹。程よい脂が乗っており甘さが広がり、身質は柔らかいが引き締まっており絶品。

●カマス幽庵焼き 能登松茸巻き

●焼き能登松茸
片折さんの能登松茸料理はどれも素晴らしく世界一と言えるが、中でも天国のような美味しさがこちら。
丁寧に切れ目の入った松茸を、切れ目を上にして、下からのみ炭火で火入れ。時にはホイルで熱を閉じ込め、目を見張りながら焼き上げると、切れ目からほんのり色付くツユが湧き上がってきます。

これが最高の旨味の雫。
身は焼くと繊維が出てきてシャクシャクとうまいが、ジュの清らかでいて湧き出るような旨味に涙が溢れるほど。

●辛子蓮根
加賀れんこんを美味しく食べさせるために編み出した一品、なんと辛子レンコンを加賀れんこんでやっちゃうとは。
紙を持ってハホハホと口に入れると、れんこんの滋味と、辛味はあるがまろやかで香ばしく新しい美味しさが広がり驚きます。辛子の部分は卵黄も混ぜ込んであるので、シャープな辛さはなく、衣にはきな粉も配合しており、ホコホコと旨味が余韻します。

●里芋の田舎煮
片折さんの伝統レシピの中でも大好きな料理の一つです。氷見の原種の里芋を使用した煮物で、煮干しの風味を乗せてほんのりと甘く仕上げているのがポイント。ほっこり、しみじみ心まで入ってくる美味しさ。

●ひろず
ふわふわと炊き上がったひろずにテクスチャーを合わせるように、珠洲のぜんまいもこの料理の場合は灰汁をしっかり抜いて柔らかく炊き上げてあって統一感があります。ひろずが出汁をしっかり蓄えており、口の中でじゅわっと広がる。心に染みる一品。

●お食事

おかわりでは、鰹の漬け丼、イクラの親子丼、マナガツオ天丼、牛の時雨煮とかほく市西山愛鶏園さんのもみじたまごのせを頂きました。

●能登栗の栗きんとん
ホコホコというより、みずみずしく滑らかな栗きんとんに仕上げてあります。中には栗の舌触りに同調するあん入り。栗の風味が豊かで目を閉じると、紅葉する秋の能登の山の光景が浮かぶようでした。

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