訪問日

2019

10/03

「料理小松」秋:新いくら飯蒸し、スッポンお吸い物、甘鯛と門前の栗

8月1日から2ヶ月ぶりの訪問。前回は15000円コースだったので、今回は22000円コースで。

活伊勢海老や明石鯛、松茸など県外産だがすごい食材を揃えてくれました。かぶらなども、地物はもう少し後のほうが良くなってくるものは県外産で。なるべく地物が食べたいですが時期もあるので。

 

●手取川 万華鏡
大吟醸の荒走りのみを槽口(ふなくち)で斗瓶取りした生酒で、2年間調熟だそう。さらにその中の高品質なものだけを選んで瓶火入れした絶対量の少ない限定品。 昨年冬の240本限定のもの。“絹の様な滑らかな味わい”という表現がぴったりくる美酒。

初代 徳田八十吉(1873年11月20日-1956年2月20日)のお猪口

●勝駒
味のあるアンバーが美しい大樋焼の徳利で。

●新いくら飯蒸し
最初から風流な演出に心掴まれました。鈴虫の音が聞こえてきそうな虫かごに、秋の山野草りんどうの花を添えて、新いくらの飯蒸し。
お軸は、“月に雁”、そしてススキに彼岸花。

いくらの味の添え方が絶妙。皮が薄く柔らかく、舌に残らず、いくらのおいしさがぽわっと弾けてご飯に調和。

りんどうが素敵だと話していたら、お水を準備してくださって目の前に生けてくれて、帰りまでにいくつかが咲いててこれもまた素敵な演出に。

 

●まる お吸い物
名店のスッポンと言えば、の服部中村養鼈場さんのスッポン。そのスッポン美味しさが溶け込むお吸い物は、思わず「あぁ」と吐息がもれる美味しさ。澄んでいるのに深く広がりのある旨さ。おネギがまた好相性。浮かぶ菊も風流。蓋見返しに美しい菊の蒔絵が施されていてそれを眺めながらお吸い物いただくと、お椀の見込みにも豪華な蒔絵が施されていました。

●お造り 一
私たちのために準備してくださった明石鯛。ひきしまった身の食感から、激しい海流にもまれている姿が思い浮かびます。シンプルなお造りなのに存在感あり、ムチっと活きた食感が絶品。煎り酒と土佐醤油で。

●お造り 二 (活伊勢海老、カマス)
活の状態から捌いてくれた伊勢海老のお造り。活きがが良くて桶の中でも暴れるあふれんばかりのパワーです。

氷でシメて花が咲いた伊勢海老は透明の珊瑚色。海老味噌をつけて、これがコクありいい塩気。口いっぱいに頬張る幸せ。身に甘みを蓄えており、口の中でもピチピチと跳ねる。

カマスと。味わいのあるこの器は、かなり薄手で繊細なのですが、なんと400年前の明(みん)のもの。またたいそうなもので出してくださって感激。良いものを大切にされています。

●松茸
まだ地物は早いので、出旬の長野洗馬の松茸。季節が秋に移り変わってきたことを香りで体感。
器は初代 矢口永寿。これも大将がとても大切にされているものだと思われます。

●甘鯛
甘鯛に能登門前の栗を裏ごししたもののせ餡がけにするという、この取り合わせの妙。栗のほっこりくる甘みと滋味、ほろほろと落雁のように口の中で溶けて、雅な味わい。
器は宮本雅夫さん。こんな器もお作りなのだなぁとしみじみ見惚れていたら、明時代の皇帝専用の窯元の焼き方を再現されたものだそうで、教えて頂きました。秋のお料理にも合うお色。

●八寸
無花果ごまだれ、鮑とレンコン、あん肝。
鮑は7時間かけて蒸し煮にしたもので、輪郭はしっかりしていますが、優しい弾力で歯が喜日ました。

●鮎煮浸し

●のど黒
照りのあるのど黒に今一度胃袋がそわそわと。説明不要の美味しさで、脂が口の中でたぷたぷと滲み出す。添えてあるのはのど黒の子。こちらも美味。付け合わせは志賀町の舞茸。

●かぶら
通称“瑠璃”と呼ばれる幕末の瑠璃色の伊万里焼。深い海、朝陽が昇る直前の空、宇宙から見た地球を連想させる、神秘的な色。吸い込まれてしまいそう。ずっと眺めていたい。
かぶらは地物はまだなので青森。スジなく繊維柔らかい。シンプルだが難しい料理。

●いなだ茶漬け
能登の伝統保存食「巻き鰤」は、鰤を塩漬して干し縄で巻いた保存食。「いなだ」も似ていますが、半身のままで作って乾燥させた上物。削ってお茶漬けにはらり。凝縮された旨味と塩気がグラデーション描きながらご飯に広がる。美味。

●栗きんとん
門前の栗を能登大納言あんで包んで、毬栗を思わせる栗きんとん。山の豊かさとパワーを教えてくれる深いお味のお菓子。秀逸な美味しさの中に、情と懐かしさも感じさせる。
梅山窯、陶芸家中村卓夫さんの器がステキでステキで、翌日もまだ心に残っておりました。

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