訪問日

2022

10/11

「L’évo」秋:仔熊の腸、仔熊の手、日本鹿のタン、モクズガニ

何度来ても、今までの人生で初めての美味しさや尊さ、料理を通して様々な背景を魅せてくれます。本当にここまで行く価値があるというもの。
今回特に印象的だったのは、仔熊の腸、仔熊の手、日本鹿のタン、モクズガニ。仔熊は運次第でしかないので、本当にタイミングが良かった。グルヌイユは相変わらず絶品。
どうしても食べたかったレヴォ鶏は今回も食べられませんでした(2回目)。育たない期間があるのだそうです。

●プロローグ
5種類のアミューズから幕開け。
・黒部のシェーブルと満寿泉の酒粕を使ったグジェール
・甘鯛とじゃがいものクロケット、香草を纏わせてナスタチウムを乗せて
・赤ビーツのメレンゲと鶏レバームース
・薪で少し香りをつけた白海老を餅米煎餅に乗せて
・ゲンゲンボウのフリット

●鱧
鱧がいないのに鱧の存在感をしっかり感じるインパクトある一皿。
鱧から取った涼やかで濃厚な出汁ジュレに蓴菜や雲丹を泳がせて、じゃがいものブルーテを合わせて。鱧を主役に置く料理ですが、鱧の身は使用せずに、出汁のみを取り入れて存在感をしっかり感じさせるという粋な一皿。鱧の身を使った料理だと、じゃがいものブルーテは不相性だと思いますが、鱧の濃厚な出汁だからこそ完成する一品で、雲丹の甘さも美味しさに一役買っています。大葉のオイル、赤紫蘇を散らして。

●日本鹿
日本鹿はタンを使用。薪で燻した猪タンで、ぷりっと優しい弾力に軽やかな燻香を纏わせて。ジュレに溶け合うアザミの緑の味わいと、雲丹の濃厚な甘さとドライトマトの旨味で、清らかで骨太な美味しさを添える。
月見草、ヘチマ、ミズ、アザミのジュレ、薪で燻して乾燥させたトマト

●グルヌイユ
谷口シェフのグルヌイユは絶品。アズマヒキガエルという種類で、生息するのは利賀村からさらに車で1時間ほど行った”水無(みずなし)”という山深い地区で、シェフはじめスタッフみんなで出かけて捕まえに行っているそうです。シェフのグルヌイユを捌く技術が秀逸で、瞬きする間に完了しているくらいあざやかなんですよね。
もも肉はソテーに。腕とお腹は、ツルムラサキ、玉ねぎ、コショウソウでセビーチェに。
鶏肉とフグの間という味で、5〜7年ものの大きい個体でないと、なかなかここまで身をしっかり味わえないそうです。プリッと跳ね返す弾力と、とくとく広がるジュがいつまでも美味しい余韻を残します。絶品。

ペアリングは、ベルベンヌ、松、ウォッカ、湧水ソーダ、塩のコンビネーション。

●アオリイカ 薪火
マコモダケ、ミゾソバの花、貝ジュのソース

●モクズガニ
なんとモクズガニと仔熊をパートブリック包み。モクズガニのお腹と味噌、落花生の新芽、発芽落花生をアクセントに、シェリー酒と。何気にイイ仕事をしているのが落花生で、ギュッと詰まった野趣と深い味わいが、主旋律となって持ち上げます。

●大門素麺 スペシャリテ

●月ノ輪熊
子熊の腸はふるんと歯が喜ぶ優しい弾力で、綺麗な味わい。魂が反応するくらいの絶品です。ギシギシの野生的なソースで。

ギシギシの葉↓

●キジハタ
甲殻類のジュとココナツ、ハーブでエスニックな風味でまとめ上げた一品。
ガスエビホエー、オクラ、オクラの花びら、クルピエ、カルダモン、レモングラス

●仔熊の手 
とってもレアな子熊の熊の手を使った一品で、爪の部分がニョキッと片側から覗いています。じゃがいもで巻き上げてあるので香ばしくカリッとなっており、子熊の聡明なゼラチンが重なります。本当にレアな食材なので感謝。天然舞茸をのせて。

ペアリングは、大スズメバチを漬けた貴醸酒

●仔猪
野生のパワーを秘めたピュアな美味しさが引き立つ最高の火入れ。ジビエのジュのソースで、丸茄子と庄川の栗のバターソテーを添えて。

●サルナシ
四葉クローバー、林檎と洋梨の泡、キウイ泡、森のヨーグルト、ポーポー果肉
複雑で南国っぽさもある果実のグラデーションに、爽やかで柔らかい酸味が溶け合います。

●黒文字
レヴォの近隣に自生する黒文字で構成したデザート。薄いクロモジキャラメルサヴール、クロモジのクレーム、シロップ、瞬間冷凍したパウダーといった全てのパーツにクロモジを使用。各パーツが織りなす食感と黒文字の爽快な風味のコンビネーションが面白い一皿。
エディブルフラワーは南砺市の千華園さん。

●カフェ・ウ・テ、小菓子

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