訪問日

2021

10/24

「L’évo」秋:山兎、ムジナ、子熊のアンドゥイエット

5度目の訪問。秋が深まり、朝夜は気温がグッと冷え込む利賀村です。ジビエ類も増えてきて、野生の味覚が本格化。今回とても感動的だったのは、子熊のアンドゥイエット、ムジナ、スッポンと熊です。

●プロローグ
5種類のアミューズから幕開け。赤ビーツのメレンゲとレヴォ鶏レバームース、八尾の高野さんの胡麻風味モナカにはエゴマと甘鯛をサンド、グジェールは黒部のシェーブルと満寿泉の酒粕。富山湾の白海老は薪で少し香りを付けて海老煎餅に乗せて。

小矢部川の“あゆかけ”と呼ばれるゴリのような川魚をフリットで。

●氷見のカマス
富山湾のカマスはフレッシュなものを使用し、表面に燻香を纏わせて。セロリ、赤玉葱、大小2種類のキュウリとキュウリのジュレ。甘みと酸味のある魚介の発酵エキスにキュウリの青い風味と爽やかな酸味が調和した、前菜として置くのになるほどと言える一皿です。

●鱧
鱧から取った涼やかで濃厚な出汁ジュレに蓴菜や雲丹を泳がせて、じゃがいものブルーテを合わせて。鱧を主役に置く料理ですが、鱧の身は使用せずに、出汁のみを取り入れて存在感をしっかり感じさせるという粋な一皿。鱧の身を使った料理だと、じゃがいものブルーテは不相性だと思いますが、鱧の濃厚な出汁だからこそ完成する一品で、雲丹の甘さも美味しさに一役買っています。大葉のオイル、赤紫蘇を散らして。

●ムジナ
薪焼きにしたムジナ。状態が良いのと火入が絶妙なのとで、絶品でびっくりしました。
赤身ですが鶏胸肉のようなムチっとした食感があり、クセがないけれどしっかり旨味があり味わい深い。ミズ、ナバナ、ドライトマト、アザミで和えて万願寺とうがらしと。

●アオリイカ
アオリイカは麺状にしたマコモダケと貝のジュのソースで。貝のジュが、クリーミーであっさりとして、まろみのある旨味が広がり美味。

●小矢部川モクズガニ
元気いっぱいに暴れる小矢部川のモクズガニはブイヨンにして根セロリと。

●スッポン
スッポン手や足やエンガワをミンチにして、月ノ輪熊の子熊の脂を合わせた“月とスッポン”の薪焼き。スッポンと熊の一体感が抜群で、何と何の肉か言われなかったら、単独の何かの肉かと思うほど。肉々しくずしりとした存在感があり美味。
ソースは2種類で、スッポンの血のソースと、お酒を作るときに使う酒米の白いソース。プレーンな酒米のソースも味をまとめ上げるのにいい仕事をしています。

●大門素麺 スペシャリテ

●レヴォ鶏 スペシャリテ

●甘鯛

●山兎
山兎の心臓とレバーのロティをジュのソースで。キャレはスパイスで風味を添えてタンドリー兎にして。

●子熊のアンドゥイエット
ここだからこそできる、世界に自慢できる一皿。
子熊の小腸に、熊の手や内臓、栗を詰めたスペシャルなアンドゥイエット。焼きレヴォ鶏のジュをソースにし、熊の生命力を存分に感じさせつつ品のある味わいに仕上げているところがお見事。ホクホクの栗の滋味もアクセントに効かせてあります。

●日本鹿
美しい火入はさすがとしか言いようがありません。ソースは鹿のジュに胡桃を合わせて、山の野趣と落ち着きのあるコクが寄り添い、重厚だが脂肪のしつこさがないので、さっぱりしていて力強い赤身にぴったりです。

●無花果
無花果を使った秋のデザート。仕上げにかけてくれる温かいソースはゼラチンを含み、アイスの温度で少しずつ冷えてどんどんとろとろになって行きます。

●黒文字
レヴォの近隣に自生する黒文字で構成した、カタラーナをイメージしたデザート。薄く伸ばしたパリパリのパイ、クリーム、シロップ、瞬間冷凍したパウダーといった全てのパーツに黒文字を使用。各パーツが織りなす食感と黒文字の爽快な風味のコンビネーションが面白い一皿。
エディブルフラワーは南砺市の千華園さん。

●小菓子

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