訪問日

2021

09/12

「L’évo」初秋:鱧、スッポン、月ノ輪熊、ウリボー

前回訪問から3ヶ月半ぶり、移転後4度目の訪問。季節は秋へと向かいます。
インパクトある新作がいくつかあって印象深い回でした。特に、前回とは趣向を変えてきた月ノ輪熊、そしてスッポン。グルヌイユも今回はソテーでした(前回はフリット)。

●プロローグ
5種類のアミューズから幕開け。赤ビーツのメレンゲとレヴォ鶏レバー、八尾の高野さんの胡麻風味モナカにエゴマと甘鯛をサンド、グジェールは黒部のシェーブルと満寿泉の酒粕。富山湾の白海老を餅米と海藻の海老せんに乗せて。

ギリギリまでどぶろくに泳がせて香ばしく焼き上げた神通川の鮎。

●カマス
富山湾のカマスはフレッシュなものを使用し、表面に燻香を纏わせて。セロリ、赤玉葱、大小2種類のキュウリ、さらにグリーンのキュウリのジュレと魚介の発酵エキスで、キュウリの青い風味と爽やかな酸味が調和した、前菜として置くのになるほどと言える一皿です。

●鱧
鱧から取った涼やかな出汁ジュレに蓴菜や雲丹を泳がせて。
鱧を主役に置く料理ですが、鱧の身は使用せずに、出汁のみを取り入れて存在感をしっかり感じさせるという粋な一皿。大葉のオイル、紫蘇を散らして、じゃがいもとモロヘイヤのブルーテと。

●月ノ輪熊(春)
月ノ輪熊の料理は、冬バージョンと春バージョンがありますが、この春バージョンは、前回・前々回の華やかであっさりしたものから、ガラッと趣向を変えてありました。小熊の胃や腸や胸腺などに、アザミと脳味噌のソースで、クリーミーで重厚な味わいと野生味を、山の青い風味が持ち上げる。山の奥深さを教えてくれたインパクトの大きい一品に。熊を知り尽くしていないと出来ない料理。

●越中青バイ
富山の大きなバイ貝“越中バイ”は深海に生息しており、殻がくしゃっと手で簡単に潰せるほど柔らかい。夏のハーブ、ツルムラサキ、モロッコインゲン、マタタビ、貝のジュ、肝のソースで。爽やかな味わいの肝のコクが広がります。

●スッポン
スッポン手や足をミンチにして、月ノ輪熊の脂を合わせた“月とスッポン”の薪焼き。ソースは2種類で、スッポンの血のソースと、お酒を作るときに使う酒米の白いソースで。ひまわりの花を添えて。重厚な味わいに振ったスッポン料理で、肉々しくてずしりとした存在感があり美味。

●グルヌイユ
谷口シェフのグルヌイユは絶品。アズマヒキガエルという種類で、生息するのは利賀村からさらに車で1時間ほど行った”水無(みずなし)”という山深い地区で、シェフはじめスタッフみんなで出かけて捕まえに行っているそうです。シェフのグルヌイユを捌く技術が秀逸で、瞬きする間に完了しているくらいあざやかなんですよね。
前回はフリット、今回は山椒バターソテーとして。プリッと跳ね返す弾力と、とくとく広がる旨味。

●大門素麺 スペシャリテ

●L’evo鶏 スペシャリテ

●虎魚
虎魚は皮目は狐色に香ばしく、身はふっくら軽く焼き上げてあります。オクラはじっくり薪で火入れをし、山ウドの新芽、オクラの花を添えて。4種類のスパイスと共に。

●ウリボー
お隣の山で捕れたウリボーのキャレを熾火でじっくり火を入れて最高の状態に。野生のパワーを秘めたピュアな美味しさ。ジビエのジュのソースで、利賀村で採れたアカヤマドリタケと。
付け合わせは、獅子唐、空芯菜、茄子。茄子は、油で素揚げし、炭火焼き、さらに薪焼きで仕上げるという3段階で火入れし、黒焦げになった皮を剥いてあります。絹ごし豆腐のような滑らかな舌触りとグッと引き出された旨さに驚き。

●ゆうかメロン
“大人のクリームソーダ”というコンセプトが心をくすぐります。
高岡のゆうかメロンの果肉とスープとグラニテ、さらにトンカ豆のアイスを添え、ベルベンヌの風味をのせた炭酸ガスのエスプーマをふんわりかぶせて。ジューシーな甘さに微炭酸が弾け、ハーバルな香りで昇華。なるほど大人のためのクリームソーダ。

●黒文字
レヴォの近隣に自生する黒文字で構成したデザート。薄く伸ばしたパリパリのパイ、クリーム、シロップ、瞬間冷凍したパウダーといった全てのパーツに黒文字を使用。各パーツが織りなす食感と黒文字の爽快な風味のコンビネーションが面白い一皿。
エディブルフラワーは南砺市の千華園さん。

●小菓子

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