訪問日

2022

10/31

「こいで」松茸の回 2022

この日のメインは珠洲産 能登松茸のすき焼きですが、そこにたどり着くまでのお料理も主役級ばかりで、最初から最後まで気が抜けなかった。

店内ではずらりと並んだ能登松茸がお出迎え。大将が山に入って採ってくる珠洲産の能登松茸で、わざと開いたものを選んでいて、松茸が放つニッキのようなニュアンスの馥郁たる香りが鼻腔をこそがします。

さて、コースのスタート。
●丹波の枝豆
粒が大きくて風味がとても強く、味わい濃厚。何気なく出てきて最初からびっくりするやつです。

●金沢の里芋
遠目で見て大根かと思ったくらい太った里芋でした。デンプンがギュッと凝縮されているような、素朴だけど絶品。塩で美味しさが引き出され、ポテンシャルが伝わりました。

●お造り(ボタンエビ 能登、迷い鰹 氷見、黄金鯖、ヤイト、ヒラマサ)
まずは度肝を抜く大きさのボタンエビが登場。まだぴょんぴょんと元気に跳ね上がっていました。男性の手のひらに乗せても、乗り切らない規格外のBIGサイズ。捌きたての透明感よ。筋肉のハリがしっかりとあって、歯を跳ね返すような弾力を感じます。

眼福の珠玉のお魚シリーズと共に。こんなお造り盛り合わせありますか?っていうくらいのインパクト。

●自然薯 磯部巻き
滋味と力強さよ。お餅そのものと言える粘り強さと大地の味わい。絶品。
これも大将が苦労されて山で掘ってきた自然薯です。自然薯は地下に真っ直ぐに伸びるので、掘り出すのに時間も労力もかかります。

●加賀れんこん 芽バス 天ぷら
レンコンの先端部分です。真っ白で柔らかく、極細の糸が引く。箸休め的に出てきましたが、感動がありました。

●メゴチ 天ぷら
サイズの小さい魚ですが、鱚のような感じで天ぷらに向きのお魚です。ほこほこふっくらした身が絶品。

●生銀だら 知床
国産の銀だらは、大半の日本人が実は食べたことが無く、全国でも食べられるお店はそう無いです。本州だとここだけかも。
明らかにモノが違っていて、今まで食べていた銀だらは一体何だったんだろうと思ってしまいました。
大物なので身が厚く、身に上質な脂がしっかり乗ってふっくらしていることに加えて、食材を生かす味の添え方も素晴らしい。良い経験ができました。

●キンキ
大物のキンキ登場。一品前の銀だらとは味付けを変えて、脂の乗りに合わせてお醤油のコクも甘さもしっかりめに添えてあります。ふるふるとした繊細な身は、旨味が骨太で、この味付けが抜群に合います。単品の完成度としても、コースの流れとしても考えられていました。

●能登松茸と能登牛ミスジ すき焼き
いよいよ来ました能登松茸。こいでさんで出てくる能登松茸は、わざと開いた状態で採ってあります。理由は、能登松茸ならではのシナモン様の香りが最大限に強くなるのが開いた時で、すき焼きにする際はこれがベストだから。

大判スライスの能登牛ミスジが表面を覆う鍋に箸を入れると、

まるで椎茸かと思うくらいザクザクとスライスした能登松茸に当たる。贅沢の極みのような鍋。
なんて日だ!

能登松茸が濃いめのすき焼きタレにも負けない強い風味です。シルキーなミスジで松茸を巻いて卵黄ディップ。

こんなの1年に一度あるかないかの贅沢です。そもそも自然のものなので、ちょうど松茸の時期とタイミング合わないと食べられないし、こんな風に提供してくれるお店はここだけかな。さらに今年は能登松茸は時期が遅くて、前半は全然採れずに後半に一気に集中しました。ちょうど予約を取っていた日が最良の日で食べられたというわけです。

そこに、白米登場というダイエット中は一番イケナイやつなのですが、「もうどうなってもいい!」という意見で全員一致。
「いいの?こんな食べ方して」という背徳感も手伝って、ごめんなさい幸福度MAXです。

ご飯は、ローマ法王に献上された石川県羽咋の“神子原米(みこはらまい)”の新米の炊き立て。それに乗っけて、無心で味わうとクラクラと眩暈がしました。

悪魔的な美味しさ!

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