冬の片折2024。(ありがたいことに29回目の訪問)
片折さんは、何シーズン前からかコースにテーマを設けており、今回は「ぬくもりの冬至」でした。
(テーマは聞かないと教えてくれないので、ぜひ冒頭に聞いてみてください。)
カニのシーズンですが(再び書きますが)、 片折ではカニを主役としたコースを昨シーズンから辞めました。 理由はいくつかありますが、カニの水揚げ量が年々減り価格が高騰する中で、無理をして使い続けることに疑問を持った点、そして(カニ目的ではなくて)片折の本質的な料理を楽しみにしてくるお客さんを楽しませてあげたいという理由です。
カニがメインでなくても、香箱ガニやお吸い物としてカニ料理は2-3品ほどありますが、主役に置かないことで、新しい料理に挑戦されています。
昨年感動があった湯豆腐もブラッシュアップさせてあり、鰤も極上の味わいでした。
(料理解説は一部。)
・風呂吹きかぶら、ゆずみそ
急に寒さが増した金沢。最初の一品はホコホコと見た目から温かい風呂吹きかぶら。山のお水と昆布だけで炊いた、美しい味。
・お吸い物 金石ズワイガニ
お吸い物は、加能ガニの真薯。ほぼ繋ぎなしの椀種が片折のカニ真薯です。舌触りがつるりしており、てろんと喉を通ります。吸地が余韻に広がります。
・香箱ガニ
一般的に内子にしっかりと火が通って固めに仕上がっていますが、片折では提供タイミングに合わせて火入れ・身剥きしており、レアな卵黄のようにふるふるとした食感で、香箱ガニのこれまで知らなかった魅力を感じさせます。
身もほわほわとほの温かい状態。外子も通常はスカスカな印象ですが、片折ではしっかり味が入っているという、緻密に計算された味わい。他では食べられない衝撃の美味しさ。片折さんの香箱ガニが今年も食べられて、1年頑張った甲斐があるというものです。
食べ終わったら、熱燗を入れて甲羅酒にしてくれました。天国。
・お造り 鰤、鰤の心臓、小鯛昆布締め
朝どれで新鮮だからこそ提供できる鰤の心臓。雑味がなくてサクサクとして美味。
・きびだんご
昨年も感動した一品。繊細できめ細かい粒感と滋味を生かしてあり絶品。中には、道明寺、ゆり根、クエ、うなぎのかば焼き。
・ブリカマ
朝どれ鰤のブリカマ。鰤の繊維が、たゆたう脂と共に口の中で解ける、極上の味わい。
・柚子風呂 湯豆腐
昨年から始まった湯豆腐が、今年は”柚子風呂”をテーマにブラッシュアップされておりました。
ちなみにこの湯豆腐用の卓上機材は、京都の職人さんに依頼して作ってもらったそうです。個々で湯豆腐が味わえるようになっていて、昔懐かしさが漂う。檜製なので檜の香りもご馳走なのです。
丸い穴が2つ開いており、1箇所には炭を入れ、もう一方には底が深い土瓶が入るようになっており、タレも保温できます。炭火が熱源で温められた檜の桶の湯から自らすくって食べる喜びたるや、この上ない。
中の柚子は、すくい上げて中をくり抜き次のお料理に。
・加能ガニ蟹味噌和え柚子釜、金沢春菊の白和
・珠洲の干ぜんまい しのだ巻き
片折さんがクラシックレシピを掘り起こしたお料理は、琴線に触れる、泣ける美味しさ。派手さはないが和の真髄に満ち溢れます。ゼンマイの戻し方と出汁の含ませ方が秀逸で、干すことで凝縮された旨味と、絶妙な戻し方によって最高の食感が実現されています。懐かしさを感じさせるほんのり甘めの出汁を含んだお揚げさんが深みを与え、洗練された技術と伝統が融合。日本料理の粋を味わえる一皿。
・お食事
ご飯は氷見のコシヒカリ一等米を使用。こちらも毎回のお楽しみ。
お代わりは3種類準備されていましたが、私は鰤と小鯛、カマス漬け丼を選びました。
・蓮根餅