片折さんの夏のお料理は、磨き抜かれた腕の高さと地物珠玉食材の素晴らしさに加えて、センスも感じられる大好きな季節です。
前回あたりから料理にテーマを決めてお献立を組むことにしたそうです(テーマは聞かないと答えてくれませんので、ぜひ聞いてください)。
今回は「七夕と夏祭り」で、風流な日本の夏が表現されていました。
箸置きは、金魚椿でした。
●滝川とうふ
滝川に見立てた古典の夏の料理で幕開け。お豆富、豆乳を寒天でかためて、しなやかな舌触りでするりと胃に落ちてゆきます。豆乳の風味がふわっと広がる。
●お吸い物 能登鮑
特大の能登鮑とたまご豆富のお吸い物です。
面を見ても大物だと分かるアワビは、500g級だったそうです。歯が喜ぶ食感、テロンとした滑らかさ。昆布を効かせた吸い地にぴったりで、口の中で磯の風味が膨らむ。
●青バイ貝
純白の花びらのように薄く引かれた美しい青バイ貝。
●白海老 磯辺揚げのせ
白海老は例年にない不漁で、食べる機会が極端に少なくなっていたので有り難い限り。
ねっとり舌に絡む甘さ。そして、白海老に足りない食感を補うように、サクサクとした磯辺揚げに乗せて。
●お刺身
アカイカ、赤雲丹、おかひじき
福井の赤雲丹は入手困難の高級品ですね。今年も食べられて感謝です。
●庄川の鮎、鼈甲生姜
片折さんの鮎の塩焼きは夏のスペシャル。
入荷は天候にも左右されるので、食運がないと食べられません。
低温で焼き上げ、熱々のうちに頭と骨を手早く外しているそうです。通常は、骨まで火を入れることを前提にして炭火焼きにしますが、こちらは身に焦点を合わせてあるので、今まで味わったことがない極上の身の美味しさに驚きます。
先入観を捨てて味わうべし。
●鮎の笹舟すし、小鯛の小袖すし
●太刀魚のぐるぐる
美しい仕事と完璧な火入れ。程よいレア感で口溶け良く、紫蘇の風味が持ち上げます。
●翡翠ナス
●胡瓜の胡麻和え
片折さんの泣ける古典レシピシリーズ。
●新じゃが
本日のテーマ通り、夏祭りの屋台のじゃがバターをイメージした、イノベーティブでもあり、遊び心もある一品。
●お食事
ご飯は氷見のコシヒカリ一等米を使用。氷見牛の八幡巻きも毎度の楽しみ。おかわりには、鮪の漬け丼をいただきました。
●桃ゼリー
弾力あるゼリーと果汁感溢れる桃ゼリー。“わたパチ”のパチパチ弾ける飴で花火のような音の演出。