今回の主役は何と言っても能登松茸。能登町で朝と昼に採れたばかりの能登松茸をたっぷりと準備してくれました。料理人さん争奪戦のやつです。これだけの量を仕入れられるのは川嶋大将のご努力あってこそ。できるだけフレッシュな状態でお客さんに出せるのは、ここ七尾だからこそ。
能登松茸は今年は例年よりも早いそうで、ちょうど前々から予約していた日にタイミンクが合ってラッキーでした。
最初に山盛りの能登松茸を見せてもらって興奮気味の客席。
●能登松茸おかゆ
くつくつと目の前で炊き上げるお粥から、松茸の香りが漂います。秋の香りと共にスッと体に溶け込み、優しく胃を撫でて体の中から温めてくれます。
●カマス
しつらえに重陽の節句の着せ綿をした菊が。綿には藤ノ瀬のお水を含ませてあります。
通称“テッパウカマス”という特大のカマスを焼き霜にして、菊菜と菜の花、酢橘ジュレで。脂の乗りが良く美味。
●イチジク胡麻がけ
営業前にもいできたばかりのみずみずしくて味の濃いイチジク。とろっと濃厚な胡麻だれをかけて、さらに煎りたて擦りたての香ばしい胡麻をハラハラとかけて胡麻をダブルで。ギュッと凝縮した1皿の中に甘味・酸味・苦味・塩味・旨味の五味のある料理です。オクラおひたしと。器は坪島土平。
●お吸い物
菊が描かれた美しい輪島塗にて。
朝産みたての能登地どり卵で作ったたまご豆腐を月に見立てて。マハタの揚げ出し、松茸、口頭にはススキに見立てた酢橘を。
●お造り クエ、ヒラソウダガツオ
10キロのクエのお腹の部位は、とてもよく脂が乗っていて、まるで鰤の砂ずりのような感覚でした。美味。クエと言われなければ分からない。ツマは能登野菜の金糸瓜。
お月様を思わせる眩い器は魯山人のうつしで、ススキが描かれていて風流。
●サワラの藁焼き
お食事で使用している自然栽培無農薬で育てているお米の藁で藁焼き。一見サワラに見えない7キロの大物でした。
わざと厚めに引いてあり、ワイルドに食べられます。朝どれのキュウリで作ったカリカリキュウリを添えて。
●お凌ぎ
翡翠銀杏、新大正糯のもち米、ふぐの卵巣糠漬け。田端志音さんの尾形乾山写しで。
●八寸
川嶋さんの見せ場のひとつ。ススキと虫籠とウサギのしつらえで秋の風情漂います。能登を旅するように能登食材を取り込んだ八寸に感動があります。
虫籠には、柚子釜には小木漁港のイカの焼きわた塩辛、朝どれ枝豆、冬瓜の旨煮、天然ミョウガ、加賀レンコンおかか和え、能登栗の焼き栗、鮑の肝煮、里芋の唐揚げ。
ウサギの器には、金時草おひたしと渡蟹の土佐酢ジュレ。
●蒸し物
2キロののど黒と若い天然三つ葉
●焼き物
メダイの炭焼きは珠洲のクヌギの炭で、近火の強火で、メダイが持っている脂で皮目をパリっと焼きあげてあります。中は余熱で火が入ったくらいのレアな状態に。土佐酢大根で。
●能登松茸フライ
贅沢に松茸の姿を残したままフライにし、衣で風味を閉じ込めて。能登島の藻塩が香ばしさに合う。
●蓮根餅のおやき
もっちり粘りとシャキシャキの食感を両方感じさせ、さらに香ばしさと甘さ、滋味深さの余韻が広がります。
●お食事
中能登の無農薬棚田米の新米を、まずはそのまま頂き、ポテンシャルの高さをダイレクトに受け止めます。お米が立っていて輪郭があり、咀嚼するたびに甘さが立ち上がります。心からの美味しい。
お次はサワラの利休漬けを乗せて。力強い胡麻の風味にも負けないお米のパワー。
さらに、お茶漬けとして。
●能登松茸ごはん
さて、クライマックスのすごいやつです。川嶋大将の松茸ご飯は、ホイル包み焼きにした松茸をご飯に乗せてくれるという、一味違う松茸ごはんです。
閉じ込められた松茸の旨味、贅沢にしっかりと感じる食感、ご飯が吸う旨味。これはたまらない。
●能登ミルクと能登地どりのクレームブリュレ、加賀しずくと
●柚あん団子
お月様のようなお団子には、能登の小豆と柚あん入り。出来立てなので、お団子がもっちりほちゃほちゃしておりました。