訪問日

2023

02/06

「御料理 ふじ居」 節分:メジマグロ、月ノ輪熊、青首鴨

ふじ居さんは毎回すごいのですが、今回も大きな感動がありました。テーマは節分で、今が旬の繊細な地物食材、珠玉食材、究極食材を織り込んだお献立で、構成も素晴らしいと思いました。生産者さんとの連携と信頼関係の深さも感じる。
特に衝撃だったのは、生口子、メジマグロ、月ノ輪熊 熊の手、青首鴨。さらに、蒸し稲荷と熊うどんも印象的でした。
富山が世界に自慢できる一店。

●菜の花、生口子
節分の邪気払いの縁起良い言葉「立春大吉」を添えて。
珠玉の生口子から幕開け。ちゅるんと滑り込んでくる上質で繊細な舌触りがたまらない。目の奥に広がる豊かな内海。これは一品目から心掴まれました。

●里芋しんじょ お吸い物
輪島塗のお椀は、雷鳥の蒔絵が施されており、見返しには立山連峰が描かれておりました。
椀種は、富山の上市町の里芋の真薯。地力を感じさせながら食感はふわふわ軽やかで、甘エビの甘味に、蕗の薹の優しく健やかな苦味が引き締めます。

●富山海老 お造り
みずみずしいフレッシュなお刺身と、甘さが引き立つ炙りの2通りの調理法で、贅沢に富山海老を食べ比べ。


海老頭は炭火焼きで。

●メジマグロ(赤身、中トロ、大トロ、砂ずり)
神経締めをした四方のメジマグロが、弾力のある食感とクリアな味わいで、想像を超える美味しさでした。

●月の輪熊
なんと熊の手を準備してくれました。一気にテンションが上がってしまった。今年はあまり捕れていないそうでかなり希少。これは本当にありがたい。
とろとろとしたゼラチン質に熊のパワーが溶け合っており、ズシリとした存在感と旨味の余韻があり絶品。
しかもこのためにご飯も炊いてくれて、キラキラと輝く銀シャリに乗っけて頂きました。目尻が下がる美味しさ。

●八寸
八寸は八尾の「下尾デザイン」さんの作品にて。一枚板をくり抜いた大物で、木の温もりと趣が漂います。
節分の大豆の含め煮、ゲンゲ干物、昆布モナカ 蕗の薹味噌、福光あんぽ柿、あんこう煮こごり、和風カステラ、温泉卵スモークサーモン巻き

●焼物
またまた珠玉食材が登場。なんと加賀の青首鴨です。

部位はロースとササミ。エネルギーに満ちた味わいで、咀嚼するごとにそのパワーが口の中にほと走る。合鴨にはない力強さに驚きました。衝撃的な美味しさ。

●ながらも
今だけの短い旬である海藻ナガラモ(アカモク)をさっぱりお出汁で。しゃくしゃくと繊細な食感がリズムを刻みます。コース構成が絶妙で、メリハリが効いているのも素晴らしい。

●あんこう
あんこうの身、胃袋、皮をあんこう出汁で。
出汁が、胃から全身に駆け巡る美味しさで、もう満腹なのにスッと染み込む感じがしました。あんこうは、部位によって食感がガラッと変わる食材で、その魅力を大いに伝えてくれる一品でもありました。

●稲荷寿司、熊うどん
蒸篭を開けると、ほこほこと立ち昇る湯気から蒸し上げた稲荷が登場。中は餅米で、熱々をハホハホ頬張ると、滋味と甘さが広がります。心をくすぐる一品でした。

熊うどんは藤井大将のスペシャリテ。熊の旨味が溶け合ったお出汁がまた美味しくて、ちゅるんとしなやかな中太麺の氷見うどんをコーティングし、口に滑り込みます。

●プラチナアイス スペシャリテ

●和菓子
虎豆と能登大納言の“狐面”です。コースの流れに乗って、最後を美味しさで昇華させてくれるお菓子でした。夢心地です。

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