訪問日

2020

07/15

「御料理 ふじ居」夏:鱧、鮎、玉蜀黍ごはん

岩瀬に移転後6回目の訪問。8月でもうすぐ1周年なので、2ヶ月に一度お邪魔していたことになります。
王様食材が揃う冬ではなく、夏のふじ居さんもすごいんです。毎年この時期本当に楽しみ。
確かな技術の上に花咲く、藤井大将のオリジナリティ。また、毎回感じますが、小さな添え物ひとつにも手を抜かない真摯な姿勢はほんと藤井大将の“らしさ”だと思いますね。

●長芋羹、雲丹、じゅんさい
昔は七夕の短冊として使われていた梶の葉をかぶせて、八尾の和紙の短冊をしつらえて。純白の長芋羹が涼しげ。珠洲じゅんさいのゼリー状の膜の厚みよ。清い味。

●鱧 冬瓜椀
浅縹色のテッセンが描かれた輪島塗が素晴らしいこと。これは気持ちを持っていかれました。ドキドキ。蓋を外すと見返しにもテッセン、そして純白の富山新湊の鱧が咲く。鱧、まずはお吸い物として。鱧に合わせた吸地も秀逸。

●お造り
お次、鱧は落としで。渋さと落ち着いた風合いに、デザイン性が加わったこの器は高取焼です。

●毛蟹 はす芋
明の古染付で。立派な輪島の毛蟹、橙酢でさっぱりと。

●冷麦
笹切の冷麦。笹の葉を粉末状にしたものを練り込んであり、ふぅと鼻腔を抜ける風流な香りが鼻腔を抜けてから、ちゅるんと滑る麺が喉の奥へリレーしていく。

●八寸
後半の見せ場。八尾「下尾デザイン」さんの、一枚板から丁寧に削った木の器で。
天然鰤を乾燥させた“イナダ”を胡瓜挟み、すり身のカステラ、茄子田楽、サザエ味噌和え、生麩のカマンベール射込み、八尾モナカにビーツ、万願寺唐辛子じゃこ炒め

●神通川天然鮎
今しがたまで泳いでいた地物天然鮎を炭焼に。笹のしつらえで登場。もくもく上がる白煙は、ほうじ茶葉に炭をのせて出しています。こうすることによって香ばしい風味づけにもなります。まだ細い鮎は頭から尻尾までいけるのがいい。

●四方の真蛸 叩きオクラ

●吉川なす
福井鯖江の伝統野菜のひとつで、丸なすの一種。近年料理人さんから注目を集めているのですが、なるほど唸る美味しさで、最近夏これが食べられるのが楽しみになってきました。繊維がとてもきめ細かくシルキーで、身が詰まっており甘さもあり。

●玉蜀黍ごはん
待ってましたの毎夏の楽しみ。中川一辺陶さんの土鍋にて。御飯鍋の蓋を外すとパッと美しい向日葵色が目に飛び込んできて、玉蜀黍の甘い太陽の香りが鼻腔をくすぐる。焦げめにも食指が動く。ああ、食べる前からもう美味しい。
玉蜀黍は黄白の2種で、プツプツ弾けてぴゅっと飛び出す甘いエキス、絶妙な塩気が次の一口を急がせます。

お土産にも頂きました。翌朝の楽しみに。

●プラチナアイス
ふじ居定番のデザート。満寿泉プラチナの酒粕で作ったアイスクリーム。

●水羊羹
季節のデザート。能登大納言小豆の水羊羹は高貴な香りが秀逸。

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