訪問日

2021

05/28

「L’évo」初夏:グルヌイユ

前回訪問から2ヶ月ぶり、移転後3度目の訪問。昼訪問でコースを頂きました。
この時期の大きな楽しみはグルヌイユ。谷口シェフのグルヌイユは絶品なんです。

レヴォまでの道のりは遠いですが、この時期の晴れた利賀村は最高。青空と緑が眩しい天空の大広間。両手を上げて大きく深呼吸をしたくなります。

飲み物は今回ノンアルコールペアリングにしました。
最初の飲み物は、山椒を使ったモヒート風のソーダで、緑が青々と映える利賀村の景色と呼応した味わいでした。

●プロローグ
スタートは毎度お馴染みのフィンガーフードから。
熊の手と山菜のタルト、スミレの花をのせて。胡麻風味のモナカ、エゴマと甘鯛をサンドして。グジェールは黒部のシェーブルと満寿泉の酒粕。

コシアブラに似たハリギリという山菜は、枝付きのスティック状態のままフリットに。口の中でパンッと弾ける山の青い風味。

●アスパラガス
城端の川端農園さんの朝採れアスパラに、山葵、シャク、三つ葉、ルッコラ、ハコベラ、タンポポのサラダを添えて。その中に隠れているのはポーチドエッグ。土遊野さんが育てるレヴォ鶏が初めて産む卵“バージンエッグ”のポーチドエッグは、黄身が白っぽくとってもピュアな味わい。アスパラのジュを合わせてソースとして、アスパラの清らかな美味しさに寄り添います。山里の繊細と野趣を味わう一品。

●月ノ輪熊(春)
春の熊は冬眠明けで脂肪が落ちていますが、ほちゃほちゃとした食感に仕上げ雲丹と熊の煮こごりが絡みます。熊のコンソメジュレには“イラ”という山菜で風味を添えて。こごみ、ミズ、ギボウシと。

●蛍烏賊
富山出身のガラス造形作家 小島有香子さんの作品。ガラスを層にして重ねてあり、透明感のある静かな池のようでもあります。
蛍烏賊を熾火で火入れしふるふるとした食感で、口の中で飛び出す肝がソースの役目となります。大葉タネツケバナ、ヤグラネギ、カンゾウのサラダを添えて。

●越中青バイ
富山の大きなバイ貝“越中バイ”は、殻がくしゃっと手で簡単に潰せるほど柔らかいやつ。
薪焼きにして貝の出汁で、食感に同調するやわらかい味に仕上げています。天然セリ、アザミと。

●グルヌイユ
待ってましたのグルヌイユ。生息するのは、利賀村からさらに車で1時間ほど行った”水無(みずなし)”という山深い地区で、シェフはじめスタッフみんなで出かけて捕まえに行っているそうです。
シェフのグルヌイユを捌く技術が秀逸で、瞬きする間に完了しているくらいあざやかなんですよね。
モモの部位はヨモギや山椒をパン粉に加え、山の風味のフリットに。まるでフグのように、プリッと跳ね返す弾力あり、旨味がとくとくと広がる。
ふくらはぎの部位は、水無地区に自生するイタドリの新芽と和えて。

●L’evo鶏
レストラン名を冠した谷口シェフのスペシャリテ。レヴォ鶏はシェフが「土遊野」さんと連携し、満寿泉の酒粕など飼料から指定して育てられています。
レヴォ鶏の中に、熊の脂で炊いたご飯と鶏もも肉・胸肉を詰めて焼き上げてあり、旨味を蓄えた脂が飛び出すので火傷注意。マスタードソースを付けて熱々を慎重に口にすると、ピュアでいて骨太な旨味が堂々と広がり余韻として続きます。毎回楽しみな一品。

●大門そうめん
こちらもシェフのスペシャリテ。富山の名産品である大門素麺(おおかどそうめん)を使った一品です。大好きな料理。
乾麺として流通する大門素麺ですが、これは半生麺を使用しており、もちもち食感と旨味があります。白いスープは黒部「Y&Co.」さんのシェーブルチーズで、緑のオイルは春に採れたフキノトウ。ヤギチーズとフキノトウという、とても個性的な2つの風味の方向性を合わせておいしさに昇華させているところに感動があります。

●虎魚
オコゼは身をふっくらと焼き上げて。柑橘と魚介の発酵エキス、魚とジビエのジュのソースで。山ウド、花山椒。

●内臓
月ノ輪熊の小腸とアザミを使った一品。前回も出てきて美味しさに驚いた料理です。
小腸はとろけるように柔らかく、さらに上品で優しい味わい。熊は冬眠明けにアザミをよく食べるらしいのですが、レヴォ近隣の川沿いで採れるアザミをソースとして。ソースも繊細な味わいで、野趣と妙味を添えます。富山のヤギバターでそっと膨らみを出す。

●鴨
富山浜黒崎の天然カルガモ。チヨロギ、モミジガサ、ノビル、キャベツ新芽

●よつぼし苺
透明感のあるイチゴの乾燥チップ、イチゴのソルベ、トマトジュレ、モッツァレラチーズのエスプーマ、春菊オイル

●黒文字
レヴォの近隣に自生する黒文字を、シロップ、粉末、飴、クリームの全てのパーツに使ったデザート。黒文字らしい爽やかさに馥郁たる香りも重なり、さらに各パーツの食感のコンビネーションも面白い。

●小菓子

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