今年2019年の松茸はどこも同じく少ないようで和食店さんはみなさん苦戦されています。さか本さんでも夕食では焼松茸とすき焼きが出てきたのですが、毎年この時期くる方のお話だと例年の半量くらいだそう。しかしながらびっくりしたのが朝食で、朝食のほうが松茸料理が豊富で大満足でした。(この松茸の時期だけは、スペシャリテのがんもどきは出さないそうです。)
●吉田蔵
●焼松茸
松茸の季節に来られた喜び、まず第1品目で噛み締めます。シャクシャクとした歯応えを感じるごとにパッと口の中に広がる芳しい香り。山の景色が思い浮かびます。
●舞茸天ぷら
●百合根の胡桃和え
光り輝く艶っとした百合根に、胡桃の滋味を添えて。目を閉じて味わいにおいしさに浸る。
●ハスがき
“そばがき”ならぬ“ハスがき”。すりおろした蓮根はもっちり伸び良く、絶妙にシャリシャリした食感を残しており美味。なるほど、と頷きたくなりました。
●お吸い物
ボタンエビの頭で出汁を取ってあり、ボタンエビの姿は見つけられないがエビの存在感たっぷり。甲殻類の風味がカブにも染み込む。天然シメジと。
●毛蟹
毛蟹はカブラと焼ネギに酢味噌を添えて。
●お造り
イシダイ、クロムツ昆布締め
●能登牛、能登松茸のすき焼き
まずは能登牛を割り下で炒め焼きに。能登牛はやや厚みのある切り方で、柔らかさと能登牛の印象を残します。
そのあとはしらたきと能登松茸を。香りが口いっぱいに広がり一口一口がおいしい。さすがフレッシュな地物。
●栗ご飯
渋皮の野趣も味方につけた栗ご飯は美味。この飾らなさが心に染みます。
●水菓子
再び湯につかって静かに布団の中へ。
【朝食】
朝はニワトリの声で目が覚める。そして朝食が夕食以上の松茸三昧で完全に目が覚めました。最初に運ばれてきた土瓶蒸しで心踊ったのは序章で、さらに松茸ごはんに香の物も松茸。さらに茶碗蒸しの蓋を開けても松茸が。ああ、なんたる幸せ。
角偉三郎さんの合鹿椀で頂く松茸ごはんの贅沢さよ。どっしり重厚で高台も太く長めだ。だが、やわらかい曲線が手のひらに収まりフィットする。木目を生かした表情豊かで優しい面持ちも味があります。