ズワイガニのオスメス両方を食べられる時期の訪問。
ズワイガニのオスの素晴らしさはもちろんでしたが、衝撃はメスの香箱ガニ。12月も後半になるとさすがに食べ飽きてくる食材ですが、片折さんの香箱ガニは別格の美味しさで驚きました。今までの人生で一番おいしかったと断言できます。
●蕪の風呂吹き
朝掘りの蕪。この日は昼席の予約だったので、ついさっき掘ったばかりの蕪の風呂吹きです。
●氷見ズワイガニ
真薯ではなくカニ身を寄せてあり、とろんと口に入ってきて喉を滑っていきます。
命の出汁は、試飲の段階で今回は昆布がいつもより少し強めだなという印象でしたが、なるほど、カニにピッタリとくるバランスです。思わず吐息の漏れる美味しさ。
●香箱ガニ
絶品。越前港の香箱ガニをお客さんが口に入れるタイミングを逆算し、湯がいて手早く身出し。6人分を本当に直前のタイミングで行っていました。特に内子の美味しさには驚きで、半熟卵の卵黄のようなとろける食感と密度の濃い旨味、ほわほわとした温かさが相まって美味しさが膨らみます。プチプチの外子も、だしガラのようになっている場合が多いですが、この外子はしっかり味がある。香箱ガニのおいしさを引き出した最上級というものを堪能しました。
●お造り 氷見のヒラメとアオリイカ
●氷見メジ
氷見の11kgのメジはグラデーションと光沢が美しい。
サクサクとした筋肉の弾力がまだあり、脂は綺麗な味わいで甘く、甘めの能登醤油ベースの自家製醤油が相性ぴったりです。
●越前ガニ
活きのいい立派な越前ガニを目の前で捌いてくれます。元気過ぎてちょっと凶暴。暴れる暴れる。大胆かつあざやかな実演に無言で見入ってしまいました。あっという間です。
6人でカニ3杯、ということは2人で1杯、というのもすごい。
まずは、目を見張り炭火焼にして。味を加えずに塩水の味のみで。海水で引き立つ雅な薄甘さが広がります。
さらに裏ごししたカニ味噌を甲羅で、炭火の熱で沸かさないように温め、カニ足をカニ味噌しゃぶしゃぶとして。目を閉じて味わいに浸りたくなる妙味。どことなく透明感のある味でもあり、昆布のような旨味と湧き上がるようなカニの甘さが相まって口中に鳴り響きます。
●宇出津港のど黒 炭焼き
●里芋原種 カニあんがけ
●信田巻き
クラシックレシピを掘り起こした片折さんの料理は泣ける美味しさです。派手さはないが和の真髄で、コースの中でも特筆したい料理です。ゼンマイの凝縮した旨味と食感、それを受け止めるほんのり甘めの揚げが懐かしみを添えます。
●ご飯
氷見のコシヒカリ一等米、今回は4段階で頂きました。
銀シャリ、カニご飯、鮮度の良いメジマグロの漬け丼、卵黄と鰹節のせご飯
●葛焼き
焼きたてのアッツアツを手で掴んでハフハフ言いながら頂きます。きつね色に焦げる皮目の香ばしさと、熱々だからこその程よい甘さで美味。