16回目の訪問。
今回のハイライトは何と言っても加能ガニです。
この日市場で一番大きかったというだけある、1.8kgアップの大物が登場!
加能ガニは、最高級ブランド「輝(かがやき)」があり、認定されるためには厳しい規格がいくつかありますが、重量規格では1.5kg以上とされていますので、それを優に超えています。(足折れがあったので、輝にはならなかったカニだそうです。逆にそっちの方が価格抑えられてありがたいです。)
そして、今回は能登松茸とカニシーズンが重なる限られた期間ということもあって、豪華な回となりました。
その他今回インパクトあったのは、焼きワタ塩辛、沢野ごぼう、14kg能登ぶり。
●そばがき 中能登町
●前菜
川嶋さんコース冒頭の定番、五味を取り入れた一品も加能ガニがメインでスタート。
茹でとお刺身の間の絶妙なレア食感で、口の中でとろけます。能登伝統野菜 中島菜、原木椎茸 のと115、胡麻、土佐酢ジュレで、五味に加えてさまざまな食感も楽しめる。
●能登松茸粥
能登松茸ならではのシナモン様の風味が広がる。無農薬棚田米コシヒカリはわざと少し硬めに炊き上げることで、咀嚼させて味を感じさせます。
●お吸い物
かぶらでみぞれ仕立てにしたお吸い物は、景色もこれからの季節を思わせます。かぶらは夕方抜きたてで、鮮度が良くてとても甘い。
椀種はカニ真薯で、つなぎがほとんどなしなのでふわふわと軽く口の中でとろんとほぐれて、ほこほこと温かい温度と共に甘さが広がる。カニ味噌を加えてあるのでそのコクがグラデーションを描きながら吸地に溶け合っていく。
●クエ 5kg、縞鯵
提供時間を逆算して出してくれるお造りです。
●能登ぶり 藁焼き
なんと14kgという大物です。面の取り方と厚みからも大物だと一目瞭然。
2日熟成で藁焼きにベストのタイミングだと思いました。砂ずり部分も良い脂の乗り方で、藁焼きのスモーキーな風味が軽く乗って美味。鬼おろしが最高のパートナー。川嶋さんの藁焼きシリーズは、お肉のように食べられて、魚の一味違った味わい方ができて好きです。
●香箱ガニ
美しく身剥きした香箱ガニ。中には内子と外子もたっぷり詰まっていました。カニ旨味エキスのとろみあんがけで、美味しさを余さず頂きました。
仕上げの甲羅酒でノックアウト。甲殻類の旨味がお酒に移っていてたまりません。
●八寸
焼きワタ塩辛、鯵の棒鮨、落花生・ムカゴ・能登銀杏・百合根団子、春菊白和・甘海老昆布締め・アオリイカ焼き霜、天然なめこおろし
焼きワタ塩辛は、スルメイカのワタを予め焼いてから塩辛にしたもので、香ばしさとほろ苦さと、発酵食ならではの奥深い旨味、塩気が絶妙で、どれだけでもお酒が進みそうでした。本当に絶品。
●テッポウカマス松茸巻き
●加能ガニ
主役級が続いたので存在忘れていましたが、ラスボス感漂わせて加能ガニが再登場。身出ししてシンプルに加能ガニのポテンシャルに浸ります。
●沢野ごぼう 七日炊き、里芋
沢野ごぼうは七尾が誇る伝統野菜です。極太なのに繊維がとてもきめ細かくて食感に感動があります。馥郁たる香りもご馳走。しかしながら、掘るのが激務ということもあり、以前は60軒あった農家さんも今では10軒になってしまい、希少な高級食材となってしまいました。小学校の頃は給食にも出てきたくらいポピュラーだったので、私は懐かしみも感じます。
里芋揚げ出しは、鳥居醤油のもろみ粉で育てたというこだわりです。深い甘さも粘りもしっかりあって葛餡に同調する。
●お食事、胡麻豆腐と天然茸のお味噌汁、香の物
川嶋大将自ら田植えをする無農薬棚田米の美味しさに浸る、後半戦ラストスパート。お代わりのバリエーションがあると、ついつい食べてしまうのですよね。
・カニご飯
・海苔佃煮
「ごはんですよ」ではなく「川嶋ですよ」(笑)これはもうスペシャリテと言って良い。
能登の良い海苔を使っているので、風味が豊かで横幅の広がりもすごい。能登伝統野菜 中島菜の塩漬けを混ぜ込んであり、ほんのり余韻に苦みが効いていてヤミツキを誘発する。どれだけでも食べられます。
●能登地鶏のクレームブリュレ、シャインマスカット、柿
●能登栗きんとん
熟成させた能登栗を使用したきんとんで締めくくり。砂糖なしですが、力強い甘さと濃厚なコクが印象的でインパクトあり、さらに雅やかな印象。蟹コースの興奮そのままで、かつ川嶋さんの風情も残しながら良いフィニッシュとなりました。