訪問日

2022

06/09

「御料理 ふじ居」初夏:白海老しんじょ、活ボタン海老、赤貝、新玉ねぎ

移転後12回目の訪問です。
しばらく期間が空いてしまっていたので、本当に楽しみだった。
前日の6月8日は、藤井大将のお誕生日であり、創業11周年だったので、お祝いもできて良かったです。
今回印象的だったのは、お吸い物、活ボタン海老、赤貝、新玉ねぎ、新生姜ご飯です。
お吸い物は吸地が本当に美味しかった。大物食材や高級食材ではなく、吸地で記憶に残してくるというのは、本当に素晴らしい料理人さんだと思います。富山の誇りですね。

お昼は逆光なので、写真が(調整しましたが)ちょっと見にくいかも。
お食事中は、自然光が心地よく、お庭の緑が目に優しくて最高です。

●水無月豆富
“夏越の祓”の茅の輪のしつらえに「蘇民将来之子孫也」を掛けて、卓上で季節の行事から儀式的に始まる初夏のふじ居。清々しい風が吹き込むようです。
胡麻豆腐、能登大納言小豆、雲丹、純菜

●お吸い物 白海老しんじょ 岩瀬
細胞が喜ぶ本当に美味しい吸地でした。
鰹節・昆布に白海老の旨味を乗せ、返り香と美味しい余韻にいつまでも浸れる。白海老は他のエビ類よりも甲殻類の主張が強くなく繊細で、湧き出るように甘さが立ち上がる。
吸い物椀は、浅縹色のテッセンの蒔絵が美しい輪島塗。

●お造り シマダイ 新湊、鱸 岩瀬、活ボタン海老 新湊
ふじ居さんのお造りは、地元で揚がったばかりの鮮度良い魚を使ってくれるので、個人的にとても好きです。熟成魚ならば東京などでも良いわけだし。岩瀬だからこそ価値ある、ピンピンの鮮魚が嬉しく思います。

今朝〆で血抜きをしたシマダイと鱸は、筋肉のピンピンした弾力が食感に感じられて美味。さらに目の前で捌いてくれる活ボタン海老の潤いのある透明感よ。


器は富山県で作陶する陶芸家「釋永岳」さんの新作。

●お造り 赤貝 七尾湾、青バイ貝
見た目からもずっしり重さを感じるくらいの大物の赤貝と青バイを準備してくれました。
存在感ありまくり!

紅白のお造りですね。切り身にしても厚みで大物と分かります。
赤貝は、咀嚼するごとに潮騒と共に昆布のニュアンスの旨味が広がる。
富山の青バイは綺麗な水で育つので身を守る必要が無いため(と聞きました)、殻が大きく手でクシャッと簡単に潰せるほど柔らかく、身も厚くて甘い。

●冷麦
夏のふじ居さんで食べられるのが楽しみな一品。
京都のご修行先だった大将のご実家「祇園 権兵衛」さんが作ってくれる笹切り冷麦がお献立に。
笹の葉を粉末状にしたものを練り込んであり、風流な香りがふぅと鼻腔を抜けてから、ちゅるんと滑る麺が喉の奥へリレーして行きます。むちむち食感と野趣も美味。

●八寸
八尾「下尾デザイン」さんの、一枚板から丁寧に削った木の器に盛り込んだ八寸です。
新湊のサザエ味噌和え、スナップエンドウ梅肉、越中八尾の高野さんの最中にたたいたオクラ、じゃこセロリ、すり身と卵のカステラ、そら豆白和え、白身魚煮こごり

●焼物 のど黒
1.4キロという大物の地物のど黒。これは引きがないと入荷できないやつです。大将も嬉しそう。

大将の鮮やかな包丁捌きを目の前で拝見できるのは、やはりこのカウンターの良さ。串を打って炭火焼きに。

レア感を残して焼き上げ、ほちゃほちゃ美味。脂がさっぱりしています。

●毛蟹、はす芋
輪島の毛蟹とはす芋を、さっぱりと橙のしぼり汁ゼリーと。

●新玉ねぎ
シンプルだがガツンと記憶に残す一品。
新玉ねぎは1時間オーブンでローストして甘さを最大限引き出し、鰹・昆布・白海老のとろみ出汁あんがけで食感・自然な甘さとも玉ねぎに調和。飴色のあんに器のアンバーが呼応していますが、この器は8代 大樋長左衛門。

●新生姜ご飯
この時期だけの味覚。みずみずしくフレッシュでアクもない新生姜の、雅な清涼感とシャキシャキが美味。

●プラチナアイス
ふじ居さんの定番のデザート。満寿泉プラチナの酒粕で作ったアイスクリームはとっても芳醇でインパクトあり。

●葛焼き
作りたて熱々で、もっちりふるふるの葛焼き。食後の幸福度を今一度上げてくれました。

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