訪問日

2020

01/08

「御料理 ふじ居」新春:カラスミ餅、鰤カツ、熊うどん

毎回すごいことになっていて、藤井さんの春の木漏れ日のような温和な笑顔の奥に潜む、クリエイティビティが宇宙だなぁと。「次はいつ来よう」「次は次は」とわざわざここに来るのが楽しみになっている自分がいます。
今回は年明けということで、お正月らしいお料理も織り込んでくれましたが、さすが一線を画した技術で“料理屋さんの新春料理”の凄みを教えてくれました。

まずは新年らしく大福茶。からの一献。

お酒は満寿泉「土遊野」の生(ラベルなし)と、新年らしく満寿泉「寿」大吟醸で。

●数の子なます
数の子は予め味噌漬けにして丸い甘さを添えて。紅白なますの甘酸っぱさと呼吸を合わせてあります。

●蛤しんじょう椀
吸地は蛤の旨味が口の中で膨らみ、味わいに浸りたくなるおいしさ。蛤の真薯はほわほわで口溶け良く美味。

●カワハギ お造り
岩瀬のカワハギをお造りで、肝を添えて。食材のポテンシャルが高いのと、藤井さんの刺身の引き方が素晴らしいのとで、絶品と言わず何と言えば良いのか。人生で1番うまいカワハギだったかもしれません。フレッシュ感と余韻に残る旨味、そして絶妙な弾力。美味。

●ヤリイカ お造り
四方(よかた)漁港のヤリイカをお造りで。こちらも目の前で魅せてくれる包丁技術が素晴らしく、“刺身は料理”なんだということを再確認させてくれました。

●からすみ餅
木工象嵌の桐火鉢でまずはお餅を目の前で炭火焼きするという、たまらない演出。お餅は、満寿泉の貴醸酒を仕込むときに使う古代米の緑米を使用。もうこれ聞くだけで十分美味しいでしょ。表面が狐色に焦げ、ぷくっと焼き上がったお餅に、カラスミを削ってかける。パワーみなぎる力強いお餅に、素焼きの香ばしさ、ふわふわと軽く塩味と旨味を添える削りカラスミ。なんて贅沢な。

器は作者不明ですが明の時代末期のもの。

●八寸
八寸もお正月らしく。宝珠の器には牛蒡、池多牛ローストビーフ、紅白ちよろぎ、真鯛の龍飛巻き、白身入りカステラ、黒豆、棒鱈、スモークサーモン温玉射込み

●天然ぶりカツ
鰤は腹の部位をカツにして。

柚子塩(手前)とソース(奥)で。サクッと香ばしさの後にほとばしるおいしい脂。とろける。

●なまことろろ

●ぶり大根
痺れた一品。鰤からの旨味を吸った大根を味わう鰤大根。鰤の姿はありませんが、口の中で鰤の美味しさの存在感がすごい。美味。器は永楽。

●甲箱飯蒸し、熊うどん
飯として甲箱飯蒸し、汁は熊うどんという豪華なお食事。初出しの蒸籠だったそうで、木の香りが寄り添います。

熊うどんは、ふじ居さんのファンなら知っている冬のスペシャリテ。伊賀鍋でふつふつしながら登場。五箇山の月の輪熊の出汁がよーく染み出た骨太な味わいのスープに氷見うどん。氷見うどんはキリッと冷たいのも美味しいですが、煮込んでもコシが失われないしテロッと絹のように滑って美味。あぁ、おいしい。もう満腹で苦しいくらいなのに、よくばっておかわり。

●プラチナ酒粕アイス
定番のデザート。満寿泉のプラチナの酒粕で作ったアイスクリーム。竹をイメージした風流なスプーンは、高岡の錫メーカー「能作」製でふじ居さんの特注品。指にも舌にもひんやり当たる。アイスはしっかり濃厚で酒粕らしい存在感のある味わいだが、このJAPANなニュアンスとふくよかでミルキーな味わいがクセになる。

●和菓子
雪が積もった松“雪持松”をイメージしたお菓子。百合根と緑はほうれん草、中の餡は能登大納言。艶やかでみずみずしくねっとりした口当たりで、ほうれん草の青い風味と野趣も味方につけた素材感を立てたお菓子。

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