訪問日

2019

11/30

「御料理 ふじ居」 冬:ブリ、甲箱ガニ

前回8月30日から3ヶ月ぶりのふじ居さんです。ブリやカニと言った北陸の主役食材が揃う冬。それだけでおいしいですが、ふじ居さんでは店主藤井さんらしい工夫が光っており、「やはりこの季節に訪れて良かった。」と思いました。
まずは香煎茶をホッとなったところでお酒を決めます。

●岩瀬真鱈子付け 器は永樂得全(14代)。

●四方グジかぶらみぞれ仕立て
レトロな画風の吸物椀は輪島塗の椿碗で、冬、雪景色の中に凛と咲く椿を見つけたときの喜びを思い起こさせます。椀蓋を外すと、グジを覆う聖護院かぶらのみぞれ雪。富山の四方漁港であがったというグジは切り身でも厚みあって、きっと立派なものなのでしょうね。身が柔らかく美味。

●四方アオリイカ造り
イカに細かく隠し包丁を入れる藤井さんの見事な包丁使い。見惚れながら待つのもいい時間。イカの白が調和する器は、清(しん)の時代の染付。また味わいのある器で嬉しい。

●新湊天然ブリ造り ブリトロ、砂ずり
富山の冬の王様、まずはお造りで。脂がのった部位、大根おろしでさっぱり。説明不要のおいしさ。まずは地物の寒ブリを食べられる幸せに浸ります。

●真鱈白子
ふくふくと湯気が立つ柚子釜の中には、ツヤッと照り輝く弾けそうな真鱈の白子。黄柚子の冬の風味を添えて。

●甲箱蟹
富山は“甲箱”と書くのでしょうか(能登も甲箱でした)。藤井さんの甲箱はぬくぬくとした温度で出してくれるので、ほわっと甘さが開いており、炊きたてのご飯を食べるような口福感があります。

●八寸
村に人知れず降り積もった雪景色のような、冬らしい八寸が卓上に登場。ジオラマを眺めるようで心踊ります。
婦中じねんじょ、ほうれん草 五箇山豆腐の白和え、八尾最中とんぶり、魚津洋ナシ胡麻醤油、すり身カステラ、鶏松風パテ、じゃこエノキ

●ブリカマ
器は白井半七。ぶりカマは杉板を挟んで木の風味を添えて。大胆に焼き付けた皮目に箸を入れると、中から蓄えられた脂が滴る。皮目の食感と香ばしさにのって、木のいい香りが鼻腔に広がり、おいしい脂が口の中にほとばしる。美味。

●福光あんぽ柿
菊の花を模した器は京焼の白菊。福光のあんぽ柿は有名でもちろん美味しいですが、敷いてある紅白なますが繊細でさすがだなぁと思いました。

●ブリ大根
器は永樂妙全(永樂得全の妻)。作品の評価が高いと言われますが、本当に一目で魅きつけられる器です。独特なセンスと色彩。古いけど新しい、重厚だけど軽やか。
ぶり大根は素材の美味しさを立てた控えめな味の添え方ですが、お出汁の味が入っていて美味でした。

●甲箱ケジャン 銀シャリ
これは興奮せずにはいられない。釈永岳さんの器で登場したのは、甲箱ガニをお酒で酔っ払わせて醤油ベースの調味料で漬け込んだ甲箱のケジャン。酔っ払いガニとも言いますね。見ただけで食指が動く。古酒が飲みたくなるやつでもあります。

捌いて身出しし、炊き上がったご飯と一緒に出してくれるというニクい演出。カニ足と内子のとろとろなまめかしい舌触り、外子の弾ける食感。噛むほどに広がる重厚な妙味に酔いしれます。これはもう思うがままに。ご飯にのせて、おかわりは必至。最後は甲羅にご飯を入れて味わい尽くすのも良し。

残ったご飯はお持ち帰りにしていただきました。

●プラチナ酒粕アイス、炉の火
定番の満寿泉のプラチナの酒粕で作ったアイスクリーム。
炉の火をイメージした金団(きんとん)、裏ごしの海老芋で。中は能登大納言、金時人参で火を表します。

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