11回目の訪問。
今回は桃のお節句のしつらえでパッと心が春になりました。
食材で印象に残ったのはピチピチの活ボタンエビで、お造りはもとより、頭の天麩羅が絶品でした。生クチコの飯蒸しも素晴らしかった。お食事は毎回楽しみなのですが、おかわりで準備してくれた牡蠣フライご飯がインパクトありました。川嶋さんオリジナル練乳いちご大福も美味。
●抹茶ひなあられ
3月の桃のお節句のひなあられでスタート。
ほんのり鶯色をしているのは、ここ一本杉通りにある「お茶の北島屋茶店」さんのお抹茶をまぶしてあるため。カリッとした食感と同時に、パッと健やかな和の風味が広がります。
●無農薬棚田米 薬膳がゆ
加賀れんこんとカニ、岩海苔のお粥でまずは胃からホコホコと温まりました。加賀れんこんは擦りおろしと、あられに切ったものも入れてあり食感に遊ぶ。
●トラフグのたたき
白子ソースをたっぷりかけた能登ふぐトラフグ。とう菜のおひたし、原木しいたけ“のと115”の添え物も美味しい。
のと115は魚醤油いしるを塗って、近火の強火で炭火焼き。茸と魚醤の旨味の掛け算。
●お吸い物
椀種は“魂の胡麻豆腐”とバカ貝の真薯。
胡麻豆腐の胡麻は煎って擦って手間をかけて作ったもので、風味が鮮烈でなめらかでもっちり。
バカ貝は骨太な旨味を持っているので、川嶋さんの吸地に溶け合い、いつもよりも濃厚な味わい。
輪島塗の椀は、生地の薄く軽いのに精巧で重厚感あり、伝統工芸の凄みを教えてくれます。
●天然ヒラメ、エンガワ
七尾の定置網にかかった天然ヒラメを、提供時間を逆算して5時間前に締めたそうです。食感と旨味が絶妙。
●お造り ボタンエビ、カタバイガイ
能登西海であがったボタンエビは、まだピチピチと元気よく跳ねておりました。透明感あり、筋肉がまだむちっとしており、歯を跳ね返すくらいの弾力がしっかり感じられます。
カタバイガイは剥ぐように引き、サクサクとした食感で噛めば噛むほど旨味が湧き出します。
●しめ鯖、藁焼き鯖
鯖を2つの調理法で食べ比べ。
しめ鯖も良いですが、無農薬棚田米の馥郁たる香りが乗った藁焼きが好きでした。加熱することによって滲み出した脂も余韻を残します。
器は人間国宝 荒川豊蔵。
●海鼠クチコの飯蒸し
新大正もち米の飯蒸しです。生クチコは透明感と艶があり、ちゅるちゅるとしなやかで潮騒を添えます。
●白子、若芽
調味料も加えず、白子と若目だけで仕上げた炊き合わせ。
船上血抜きした鱈の白子は綺麗な味わいで、雑味のないスープにすんなり溶け合う。
若芽のシャクシャクした食感も美味。
●八寸
出来立て生湯葉、20キロ鮟鱇のあん肝。鰯炙り、純烏骨鶏の玉子、菜の花の胡麻和え。ホタルイカぬた和え。
●ボタンエビ頭と蕗の薹の天麩羅
今回1番印象に残った料理。先程お造りで頂いた活ボタンエビの頭を天麩羅にしてくれました。
ギュッと詰まった海老味噌が加熱することによってホクホクに。
●甘鯛
夕方抜いたばかりの蕪、朝掘りの水菜と。
●お食事、新もずく味噌汁、香の物
まずは無農薬棚田米の炊き立ての神々しさ、清い美味しさに浸ります。
おかわりは、カニご飯、純烏骨鶏の卵かけご飯に海苔トッピングしてもらいました。
さらに、
●牡蠣フライご飯
能登の牡蠣をフライにし、揚げたてに山椒の実のソースをかけてご飯にオン。フライにしてもお茶碗からはみ出すほどの規格外なサイズにまず圧倒され、雑味のない牡蠣の美味しさに感動がありました。優しい痺辛ソースが寄り添いアクセントに。
●ホワイトチョコのアイス
新大正もち米のポン菓子に能登のじろ飴を絡めて。
●いちご大福
いちごを半分にして練乳あんで挟み、求肥をかぶせた新しいタイプ。お持ち帰りを想定せず提供できるレストランだからこその刹那的な美味しさ。糖度の高いジューシーないちごに、練乳の甘さが溶け合う。