17回目の訪問。(ちなみこの時点で、2024年末までの予約は全て埋まっています)
なんと言ってもとり貝のインパクトが凄かった回。それ以外も渾身のお料理の数々で、完全にノックアウトされました。期待値を良い意味で裏切ってくる川嶋大将の心意気よ。
1品1品のレベルも高いが、お献立構成も考えられていて、食べ終えた後の満足度が高いのが川嶋さん。
料理自体のレベルが高いのは実力あってこそだし、コースの流れがしっかりとしているのはエンターテイメントのセンスと、食べ手を感動させられる感性あってこそ。これはコース提供のレストランさんに置いて大事なポイントだと改めて感じました。
加えて、生産者との連携ができており、提供時間を逆算して食材を店に持ってきてくれるなど、もはや連帯感・一つのチームとなってレストランを作っている。規格外の珠玉食材が1番最高の状態で食べられる。
総合的にも素晴らしい。
●中能登の蕎麦の揚げそばがき、新茶
●蓬豆腐
出来立て蓬豆腐。生白胡麻から3時間かけて作ります。葛で練り上げて朝採れの蓬を混ぜ込んであり、フレッシュなジャパニーズハーブの爽快な風味と白胡麻の滋味が重なる。能登の雲丹、10年ものの山葵を添えて。
●とり貝
コース頭でもはやメインが!という主役のお出まし。”奇跡のとり貝”と言える規格外の最上級品。ヴィーナスが誕生しそうな殻の大きさと、身も面が大きく肉厚です。
まずは炭火でほんのり炙って旨味を閉じ込め、朝どれスナップえんどうのお粥をかけて。ご飯は無農薬棚田米で、輪郭をほんのり残してあるので、咀嚼させることに一役買っており、とり貝の旨味がどんどん溢れ、ご飯の甘さに重なる。天国。
●お吸い物 鮎魚女、独活
鮎魚女は2キロと言う大物で存在感あり、脂を蓄えており美味。脂を引き締めるアクセントになっているのが独活。火入れした独活と矢羽根のフレッシュな独活の2段階で、爽やかで個性的な風味が引き締める。
●お造り カレイ、コイカ
提供時間を逆算し6時間前に締めたカレイは、絶妙な食感あり甘さが迸る。
●鰆
7キロの鰆を、無農薬棚田米の藁を使用して川嶋デザインの一斗缶で藁焼き。梅大根を添える。
大物を焼き上げる川嶋さんの藁焼きは、毎度しっかり食べ応えあるのが特徴で、大物だけに脂が乗ってるけど、脂を落としながら藁の香りを纏わせ、リフレッシュさせる和の酸の置き方がとても良い。
●八寸
まずは特大のサザエを見せてくれました。デカすぎ!
そこからの繊細な八寸に仕上げてくるプレゼンもズルい(笑)
甘海老と鱒の昆布〆 芹の胡麻和え 土佐酢ジュレ、空豆と鰆の真子、蒸したてサザエ モミジガサ
●天然岩牡蠣 ヨコタ礁南
最も美味しい岩牡蠣だと思います。
羽咋市志賀町のヨコタ礁は、水深が12m〜15mと深く、潮の流れが速い危険度高のポイント。長年漁は行われていませんでしたが、半世紀ぶりに2020年に復活。たぷたぷと重量感あり、いつものとは別物の澄んだ味に、体がびっくりします。豊かでピュアな味わい。
●メダイ酒粕漬
メダイは農口尚彦研究所の酒粕に漬けて、ミディアムレアの絶妙な火入れ。コースの流れとしてもメリハリとなっています。
●炊き合わせ 賀茂茄子
七尾産の賀茂茄子を白味噌仕立てで。茄子ってこんなに美味しいの?と開眼させられる。ほっこりクリーミーな白味噌にも調和する茄子の旨味の強さ。摘み立ての実山椒でピリリと引き締めて。
●お食事 豆ご飯
川嶋大将自ら田植えをする無農薬棚田米の美味しさに浸る、後半戦ラストスパート。
パッと目を引く鮮やかなグリーンに発色したえんどう豆に心踊る。このご飯が本当に素晴らしかった。
えんどう豆は自然栽培されたもので、ポテンシャルの高さに体の細胞が喜ぶようでした。とても皮が薄くて食感の邪魔にならず、味が濃くて非常に糖度が高い。一口ごとに広がる幸せ。終盤に胃袋再熱となった一品。忘れられない味。
ここからはお代わり劇場。バリエーションがあると、ついつい食べてしまうのですよね。
今回は、カレイ胡麻だれ和え(半分は出汁茶漬けで)、川嶋ですよ(海苔の佃煮)、烏骨鶏卵かけご飯
・海苔佃煮
「ごはんですよ」ではなく「川嶋ですよ」(笑)これはもうスペシャリテと言って良い。
能登の良い海苔を使っているので、風味が豊かで横幅の広がりもすごい。能登伝統野菜 中島菜の塩漬けを混ぜ込んであり、ほんのり余韻に苦みが効いていてヤミツキを誘発する。どれだけでも食べられます。
●ブランマンジェ
能登の牧場からのミルクで作ったブランマンジェと夕採れ苺。
ふるふる繊細な口溶けで、ミルキーな味わいがぽわっと口に広がり、高級イチゴミルクに。
●水羊羹
最後を締めくくるのは、大将自ら点ててくれるお抹茶とお菓子。水羊羹は見た目から涼しい印象ですが、能登大納言の香り高さと絶妙な塩気で別格の美味しさ。