今回のスペシャル食材は特大のトリ貝。その他にも大物食材がオンパレードでしたが、その凄みに加えてメリハリもしっかり付けた抑揚のあるお献立で、最後まで引き込まれました。ここまで食べに来た甲斐を感じるコースでした。
まずは、中能登町のそばで作ったおやきと新茶で、静かに幕開け。
●七尾穴子
水無月に入ったということで、涼しげなお料理から。おろしたばかりの伝助穴子を鱧のように骨切りをする大将。
土佐酢ジュレがけで爽やか。噛めば噛むほど脂が滲み出て潤ってくるおいしい穴子。添え物の朝取れ天然三つ葉も香りがパーンと強くて美味。
●お吸い物
3キロという鮎魚女と蓬豆腐の揚げ出し、昼摘んだばかりのアスパラ、茗荷と振り柚子
(写真撮り忘れ汗)
●お造り 虎魚、アオリイカ
器は、楽家十二代 弘入。900gもある大物の虎魚は弾力あり甘みがしっかり。出始めのアオリイカは甘さを最大限感じられる包丁の入れ方で。
さらに添え物のスナップえんどうまで美味。フレッシュさが伝わり甘さがパーンと弾けます。
●天然トリ貝
なんと“天然”のトリ貝で、市場で1番大きいものを入れたそうです。1個で一人前の十分な量が取れる大きさで、箸に重さを感じるほど重量感があり肉厚。
生ではなく、片面を炙ることで水分量を保ったまま香ばしさを添えてあり、少し温度を上げてあることで甘さも開く。ワタも脂があって美味でした。
●メジマグロ
7キロのメジマグロは、砂ずりと大トロの部分を藁焼きにしてステーキのような食べ応え。白波を連想させる器は、人間国宝 塚本快示さんの青白磁。
●ヒラスズキのおすし
軽く昆布締めにしてあり水分が抜けて旨味が増しており美味。
●鱒、独活、能登島の藻塩
定置網の鱒を天ぷらで。余熱熱でミディアムレアに仕上がり口の中でとろける。独活の健やかな風味がアクセントに。
●八寸
毎回楽しみな川嶋大将の八寸。能登を旅するようなお料理の数々で、小さな一つ一つにちゃんとおいしさを置いてあるところが素晴らしいと思います。トラフグ、バイ貝、虎魚、赤西貝。
トラフグの白子は優しくゆっくり炊いて、身の昆布締めと。特大のバイ貝はワケギとぬた和えに。虎魚の肝と胃袋と皮を和え物に。燃えるような赤い身が特徴的な七尾湾の赤西貝は、切り身からも分かる超特大サイズ。ここまでの大きさはなかなか食べられないです。サザエのようなコリコリと食感で、咀嚼するごとに甘さが湧き出します。
●炊き合わせ
趣漂う江戸末期の器で。鯛の子、焼タケノコ、舳倉島の若布しゃぶしゃぶ、一寸豆
●エンドウ豆ご飯
色鮮やかなグリーンが目に飛び込んで来る豆ご飯。採ったばかりの新鮮なグリーンピースは、皮が薄く、パンと張っており、柔らかい。ご飯はえんどう豆のサヤから取った茹で汁で炊いてあり、エンドウ豆に馴染みます。
主役食材が続きましたが、ここでメリハリをつけているのも好印象でホッと胸を撫で下ろせます。
絹もずくと能登白ネギのお味噌汁と。
●デザート
谷泉純米大吟醸の酒粕を1年寝かせて能登ミルクとブランマンジェに。朝どれイチゴを添えて。
●柏餅
ほこほこ温かい柏餅の美味しさ。中は白味噌あんでコースの流れにのっている。