吉はし菓子店

よしはしかしてん

HOKURIKU TOP100 RESTAURANTS
知る人ぞ知る金沢の超名店。一線を画する繊細な生菓子(予約販売)。いちご大福は世界一美味しいと思う

フォトギャラリー

東山にある創業昭和22年の和菓子店。
主に上生菓子や生菓子を予約制で作られている菓子店で、金沢ではお茶会や料亭さんで登場することがあります。今まで数々の名茶会に吉はしさんのお菓子が出されたことでしょう、季節の上生菓子はもちろん、テーマに合わせてオリジナルで作ってくれたりもします。「こちらは吉はしさんのお菓子です」と出されると、「あら、吉はしさんのお菓子だなんて特別ね」「吉はしさんのお菓子を取り扱っているなんて素晴らしいですね」と、出した側が一目置かれるほどです。
なぜここまで支持されるのかというと、やはり一線を画した美味しさにあるのだと思います。
例えば、上生菓子に持っているイメージって、あんこがギュッと密に詰まっていて甘さもヘビーで重い感じではないでしょうか。吉はしさんの上生菓子は舌の上ですぐさま消えるように軽く、灰汁がなくて繊細なんですよね。
上生菓子は、数日前に電話で予約をしてから受け取りに行くスタイルで、予約なしに直接お店に行っても買うことはできません。(※お店はテイクアウトのみでイートインはなし)

一部、当日でも買える生菓子や干菓子を「豆半」という名前で販売していますが、特にフルーツ大福は売り切れが早いので、お取り置きの電話をされることをお勧めします。
特筆したいのは、電話も店頭での対応もとても丁寧なことで、「私、いいお菓子買いに来たんだわ」という気持ちを高めてくれます。

店舗は東山の住宅街にあります。観光客で賑わうひがし茶屋街の近くですが、吉はしさんのお店の辺りは民家が多い場所で観光客さんはあまり見当たりません。

フルーツ大福

こちらは「豆半」としての商品なので当日でも購入できますが、売り切れも多いのでお取り置きしてもらうのがベターです。
フルーツ大福は半分にカットすると断面が写真映えすることもあり、いろんなところで見かけるようになりましたが、味を精密に構築したフルーツ大福の美味しさというものを同店が教えてくれたように思います。なんと言っても、まず求肥の繊細さ。お持ち帰りできるかのギリギリの繊細さなんです。

●いちご大福(380円)
(2022/1/28、2022/2/18、2022/3/4、2022/3/7、2022/3/12、2022/4/12 大体2個ずつ食べてます。)
別格。吉はしさんのいちご大福、一番好きです。
イチゴの粒がしっかりと大きいので、大福自体の大きさも他店よりひと回り大きい。どっしりとして、真っ白な求肥にイチゴの赤が見え隠れする愛らしい見た目です。


カットすると真っ赤なイチゴがパッと香気を放ちます。あんは白餡。

求肥は水分量が多くて繊細でとろんととろける。この口当たりは吉はしさんのフルーツ大福らしい。優しい白餡と、糖度高くジューシーで風味の良いイチゴの果汁と柔らかい求肥が口の中で一体になります。これは絶品。

●フルーツ大福 桃(420円)(2021夏)
今にもとろけて液体になりそうなやわらかい求肥と白餡、果汁の多いジューシーな桃が口の中で絡み合い美味でした。

●フルーツ大福 シャインマスカット(420円)(2021夏)

●フルーツ大福 ゴールデンキウイ(350円)(2021夏)

桜餅

●桜餅(180円)(3月〜4月中旬頃まで)
桜の葉を2枚使用した長命寺桜餅。桜の葉1枚で包み込むのとは違い、葉でサンドしてあり平べったい形状です。そのため、最初から最後まで葉と生地とあんは均等な比率で食べられるんです。
塩漬けした葉の塩けと桜の風味に、なめらかなこしあんが乗る。さらに驚きは、柔らかい白玉が入っていること。これがクッションのようになっており、味わいを持ち上げます。

花びら餅 新年

●花びら餅
新年のお菓子と言えば花びら餅ですね。
雪がふんわりかぶったような半月型のお餅の中には、薄桃色に色付いたお餅を重ねてあります。中は白味噌あんと甘く煮た牛蒡。牛蒡というのが意外に感じられますが、この牛蒡の滋味と風味が趣きあって良いのです。食感も柔らかくてお餅と餡に調和しています。

滴翠

●滴翠(250円)(夏のお菓子)
“てきすい”と読む、名前から風流な夏限定の涼菓。
吉はしさんのお菓子はどれも素晴らしいですが、中でも特に好きなお菓子。新しい美味しさをオリジナルで生み出し、味わいが完成されている逸品です。

笹の葉に包まれ、見た目からもう涼しげですね。しっかり冷やしてから食べるのが美味しいです。

蓮根のでんぷん、抹茶、能登のミルクを使用したお菓子。ゼラチンとも寒天とも違うし、プリンともまた違う独特な食感。ふるふるとみずみずしいですが、ややしっかりめの弾力があります。蒟蒻ゼリーに近いかな。
能登ミルクの優しい味わいに、抹茶と笹の葉の青い風味がのっている。喉ごしに清涼感もあり、ちゅるんと胃に滑っていきます。

栗きんとん 秋

通常の栗きんとんは、栗の粒のような形にキュッと絞ってあってコロンとした見た目ですが、こちらのは一回り大きくて黒文字もスッと入るほど軽い。ホロホロと消えるような口溶けで、強い栗の風味が広がり、目を閉じると秋風が舞うようです。ああ、美味しい。他店よりも少し高価ですが、お値段の価値があります。

イ・モンブラン 秋

見た目は見慣れたモンブランですが、一味違います。五郎島金時を使用したモンブランで、中には道明寺と無花果が入っており、半分に割ると無花果の赤い果肉が目に飛び込んできます。モンブランは吉はしさんらしく瑞々しくふわっとしており、消えるような口溶けでほっこりした甘さが広がります。そこに無花果の滋味と甘さが合わさり、秋の味。


同じジャンルの店舗